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美術館・博物館に行こう!

こんにちは。ディレクターの菊地です。突然ですが皆さん美術館や博物館には行かれたりしますか?菊地は休日で予定が無い時など、ふと思い立って足を運んだりします。日常の喧騒からちょっと離れて、ぼーっと絵画や彫刻を眺める時間が好きです。

ですので、あまり混雑する企画展は好みではなく、ちょっと都心から離れた美術館(埼玉県立近代美術館やDIC川村記念美術館とか…)や常設展(アーティゾン美術館=旧ブリヂストン美術館。ずっと休館してましたが今年やっと復活!嬉しい!)など、人があまりいない展示のほうが、どちらかというと好みです。

日常とちょっと違う時間が流れるからこそ、逆に日常(仕事や生活)に活かせるインスピレーションが得られたり、得られなかったり…

でも、どんな展示も「ユーザー体験」という視点から見ると、あまりハマらなかった展示さえ、少なからず得るものがあったりします。

今年のお正月も予定の無い日が一日あったので久々、東京国立博物館(以下トーハク)の常設展示を見に行ってきました。

トーハクは毎年お正月になると「博物館に初もうで」と謳ってイベントを行っています。もう17年目になるそうです。菊地も数回(確か15年前位と8年前位)にお正月に来たことがあったのですが、久々足を運んでみて昔から変わらず良いなと思う体験と新たな試みとして面白いと思う所があり、今回はそのあたりを書いてみたいと思います。

昔と変わらず(変わらないから)良いところ

はい、等伯の「松林図屏風」です。

トーハクの常設展には国宝室というものがありまして、約一ヶ月ごとに展示内容が変わるのですが、ここ十年以上、ずっとお正月は長谷川等伯の松林図屏風と決まっています。この「この時期に来ると、いつもと同じこれが見られる」という体験は結構意味があるなと思いました。

初めてこの絵を見たのは、確か大学を卒業したばかりのころ

初めて観た時に「正月に博物館に来ちゃう俺」というナルシストな自分に酔いしれていたのもあると思いますが(笑)それはもうしこたま感動したのを覚えています。

それから十年以上経って観る「松林図屏風」

同じ場所、同じタイミング(お正月)に見ているのですが、当然得られる体験は違いました。

最初は違和感で「あれ、こんな感じだったけ」と、もしかして自分の感性が衰えてしまったのではないかと不安に思う所もありながら、ゆっくり絵に近づいたり離れたりしていると、あるポイントで「あ、スゴイ。」と思う瞬間があり、深い感動に包まれました。

十数年前に見た時とは感動に至る道筋は違ったものの、得られた感動の質感は、どこか通じる所があって不思議な感じがしました。

移り変わりが激しい時代において、同じものを一定の期間を置いて観るという体験は、なんだか感動の定点観測のようで、実は結構贅沢で貴重な時間なのではと思ったりもしました。残念ながら、今年の展示は終わってしまったので、次見るとしたら来年のお正月。興味を持った方はぜひとも足を運んでみてください。もちろん、お正月で無い期間の常設展示もオススメです。

昔と変わって良いところ その1

はい。コレです。写真です。

トーハクの展示は撮影NGの表記がないものに関しては撮影してもOKでして、先程の松林図屏風はじめ、結構な作品が撮影OKとなっています。

おぼろげな記憶ですが、昔は確か撮影はOKでは無かった気がします。もしかしたらOKだったのかもですが、スマートフォンが無い時代だったこともありOKだったとしても、よっぽどの美術好きか、カメラ好きでも無い限り、撮影するというアクションにならなかったと思うのです。

それがスマートフォンが一般化することで、このブログでもそうですが、気軽に写真を撮影し共有できることで、コミュニケーションの起点になるというのは、なんだか、その当時からの変化として面白いなと思いました。

昔と変わって良いところ その2

これです。「みうらじゅん」と「いとうせいこう」です(笑)
持ち帰る音声ガイド「33Tab(ミミタブ)」です。

みうらじゅん×いとうせいこうが行く!東京国立博物館~東洋館見聞録~ – アルバム – 33Tab(ミミタブ)|持ち帰る音声ガイドアプリ

これは今回新しい試みとして、めちゃくちゃ良いなと思いました。私美術館の音声ガイドって今までほとんどやったことが無かったのですが、これはね、試しちゃいますよね。

だって隅田川花火大会の副音声を担当し「花火がうるさいな」と言い放ったお二人ですよ(笑)そしてなんと言っても「見仏記」を書いてますからね。音声コンテンツとして面白くないわけが無いじゃないですか。これは、トーハクさんナイスセンスです。

しかもアプリなので、一度購入したら、繰り返し聞けるという設計も良い。あと、なんでしょう美術館の中で、イヤホン聞きながら、なんかニヤニヤしている奴がいたら、「あ、こいつ聞いてんな」と「気づく奴は気づく」っていう体験設計も、なんか馬鹿っぽくて良いです。繰り返しますがトーハクさんナイスです。何ならシリーズ化してください!

最後に今年のオススメ展示

はい、というわけで今回は美術館・博物館の体験について書いてみました。
いかがでしたでしょうか。普段行かないという人も一度騙されたと思って足を運んでみてください。何かしら得られるものがあると思いますよ。

最後に菊地のオススメ展示を一つ。

ハマスホイとデンマーク絵画

散々常設展のことを書いておいて企画展をオススメ(笑)
デンマークを代表する画家ヴィルヘルム・ハマスホイの展示です。10年ほど前の2008年に一度日本で展示された際に見たのですが、めちゃくちゃ良い絵画でした。ひたすた室内・ドア・背中と限られた主題を繰り返し描いた画家ですが、静かな絵なのに、とてつもなくドラマチックで動きがある…興味がありましたら、ぜひ!