こんにちは。
すっかり寒くなってきましたね。齋藤です。
今回のテーマは、撮影ディレクションについてです。
いやいや、UI/ UXと関係ないじゃん。って思われるかもしれませんが、UXの設計において、コンテンツは非常に大事なもの。そのコンテンツを作成する際に、写真や動画を撮ることがあります。
じゃぁ、その写真や動画はどうやって作るのか?…という流れで(半分こじつけですが)、このテーマで書きたいと思います。
—
前提として、僕は特に誰かに付いて撮影を学んだ経験はありません。
現場で経験しながら今までやってきました。
とは言え、色々な制作部の方やカメラマン、監督と一緒にお仕事をさせていただく中で、良いところ・悪いところ、Web特有のポイントなどなど、試行錯誤してきました。
それらを僕なりに少しまとめてみました。
前提として、「ムービー(動画)」と「スチル(静止画)」に大きく分かれるかと思いますが、今回は共通する項目をメインにピックアップしています。
以下、あくまで僕が思う撮影ディレクションですが、「撮影をスムーズに行うよう心がけ、自分がイメージした素材を撮るために最良の判断をしていくこと」に尽きるかと思います。
また、撮影には様々なケースがあります。
・ロケ撮影とスタジオ(屋内)撮影、ハウススタジオ撮影
・人物撮影と物撮り、風景
・モデル、芸能人撮影と素人(会社スタッフなど)
素材の種類が様々なように、撮影現場も様々です。パソコンに向かってデザインしているのと違って、撮影は現場仕事の為一瞬一瞬が勝負。だからこそ、段取り8割だと思っています。そのため、撮影当日までに想定できることは何度もシミュレーションしておくといいでしょう。
それでは行ってみましょう。
01.絵コンテ
これは世の中に転がっている様々な絵コンテを見て参考にしてほしいのですが、基本的には理想の構図を下手でもいいので手描きで描き、イメージすることが大事です。
「素材写真と同じ構図でいいや」などと思えば、そういう写真になりますし、中々それ以上のものは生まれません。
たまに構図を参考にすることもありますが、当たり前ですが、そのママはやめましょう。
この絵コンテがカメラマンやヘアメイク、衣装など、現場の撮影スタッフの共通アイテムになるため、とても重要です。
スチルの場合、デザイナーは構図的にどう使うかもあらかじめ意識しておくといいと思います。例えば文字を載せる想定なのであれば、その位置や背景色など。
それともう一つのポイントは、あまり大きすぎる紙に描かないこと。A4とかで描いてしまうと、それを仕上げるだけで一日が終わってしまうので、A4の4分割とか6分割ぐらいがオススメです。(※ムービーであればもっと細かくてもいいかと思います。)
02.カメラマンや監督の選定
当たり前ですが、基本的に選定は自由です。
当然予算の縛りや、仕事のしやすさ等で選定することもありますが、自分がイメージしたものを再現するために一番向いている人を選ぶのがベストだと思います。
予算ありきだからと言っても、決して「あのカメラマンの作品みたいに撮ってほしい」などの失礼なお願いはしてはいけません。予算やクオリティも含め、落とし所を見つけていくのもディレクションの仕事です。
また、フォトグラファー年鑑やそういった方々の情報を随時キャッチアップしておくことも大事です。やりやすさは、カメラマンや監督も人なので、自分でやってみて経験するしかないですね。
03.ロケハン
実際に撮影する場所の確認です。
屋外、屋内にかぎらず基本的に許可が必要になるため、許可をもらってから確認することになります。
特に外ロケの場合、太陽の位置などが光にかなり影響するので、ロケハンは最低でも必ず、カメラマンとアートディレクター(もしくはデザイナー)で行くことをオススメします。
場所によってはロケハン代もかかることもありますし、当然交通費もかかってくるのでその点を考慮することも必要です。
===========
※ロケコーディネーター
大掛かりな撮影になると、ロケコーディネーターという方々にお願いすることがあります。
色々な撮影地を知り尽くしたプロであり、どのようなものをどこで撮りたいかを伝えると、候補を挙げてくれたりします。
許可申請の知見も多く、特に複数のロケ地にまたがっての撮影などで、とても頼りになります。
===========
04.香盤表
耳慣れないかもしれませんが、簡単に言うと撮影予定表のことです。何時に、どのカットを、どこで撮るか、などが記載されています。撮影中はこれを元に動くので、赤ペン等で自分の名前を書いておくといいかもしれません。
ムービーチームをアサインしている場合はPMさんがやってくれることが多いですが、自社でやる場合には、当然作成する必要がでてきます。その際は、できるだけ撮影に関する細かい情報を入れておくと便利です。どんな小物が必要だとか、構図は縦位置で欲しいとか、視線を外したものが欲しいなど。
ライブ的に撮影する手法もありますが、現場で思いついたようにディレクションするとスタッフが混乱したり、時間が押したりする原因になるので、避けましょう。
まとめ
撮影ディレクション自体は奥深いものだと思いますが、段取り部分に関しては、過酷なロケ撮影を5回も経験すればコツがつかめてくるかと思います。5回経験しても全然慣れないという場合は、過酷じゃないか、そこまで重要な役割を担ってない場合が多いです。
先にも書きましたが、撮影はその場の瞬間瞬間なので、ミスしてしまうと取り返しがつかないことが多いです。終わってからこっちのカット撮っておけばよかったとか、思ったところにピントがきてなかったなど。
現場を上手くまわすだけなら、カメラマンの撮ったものにOKOKって言うのが簡単ですし、摩擦もおきません。しかしもちろん、それではいい(意図した)アウトプットになりません。時間とのせめぎあいはありますが、きちんとアウトプットの質と量を確認し、判断していく必要があるでしょう。
極端な話、良い物が撮れたのであれば撮影を早く切り上げることも全然OKです。無駄に撮る必要はありません。
ざっと書かせていただきましたが、また別の記事では、権利やオーディション等、その他の撮影に関することを書きたいと思います。