僕をご存知の方、こんにちは。
ご存知ない方、はじめまして。
流浪のデザイナー、Y2です。
今回は、前回の記事「The Non-Illustrator’s Illustration」からガラッと趣向をかえ、
Ideal & Reality of UI/UX
〜UI/UXの理想と現実〜
と題しまして、マイホームを建てる時に遭遇した甘くない現実をみなさんに共有してみたいと思います。
「家は3回建てないと、理想の家にならない」
とはよく言われますが、実際ゼロから家を建てる時、もっとも頭を悩ませる工程は何だと思われますか?「部屋の間取りや採光」でしょうか、はたまた「壁や床などの内装」でしょうか。確かに、それら「表面的な使い勝手(=UI)」も頭を悩ませる工程のひとつではありました。
しかし、それが一番の悩みであったかと言えば、答えはNOです。
もっとも頭を悩ませたこと…
それはずばり、「コンセントやスイッチの位置(配線計画)」でした。
(あ、すみません。わりと想像通りでしたか?w)
もし、思いつく限りの場所に、思いつく限りの数をつけられるのであれば、悩むことなんておそらくありません。
(完成後に、なにかしらの現実を突きつけられことにはなるかと思いますが…)
しかし実際は「必要最小限の数」で「最大限の効果」を狙う必要があります。
(細かい理由は省きますが、建築費はもちろん維持費にも大きく影響する、など…)
それでは、僕が経験した「甘くない現実(=UX)」をお話します。
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「遠いスイッチと使えないコンセント」
マイホームを建てる以前は当然ながら賃貸に住んでいたわけですが、その間にも、コンセントやスイッチの位置についてはよく考えていました。
例えば普通コンセントは壁の隅、下の方についていますが、十中八九、家具とバッティングしますよね。本棚を置きたいのに、そこにはコンセントが……
なんていう時の対応策としては
・本棚を諦める。
→本末転倒
・コンセントを諦める。
→不便
・壁からすこーし離して本棚を置く。
→ホコリ溜まるし、いざ使うとなると差しにくい
・あらかじめ、延長コードを差しておく。
→本棚の横から顔を出すタップを設置
という感じでしょうか。
・本棚の背板に穴をあける。
→本棚下段の一部を使わない(!!)
という猛者もいらっしゃるかもしれませんがw
ともかく、そんな賃貸時代の経験から、家具の配置も含めて念入りに計画しました。したんです。
したんですよ。
結果、念が入りすぎました。
頭の中で、何度も繰り返したシミュレーションでは完璧に近かった計画も、いざマイホームが完成し蓋をあけてみると、そこかしこに「穴」がありました。
自分達の生活動線をイメージしながら計画を立てていきましたが、そのイメージが「理想」的な動線すぎて「現実」のソレとはかなり大きなズレがあったんです。。。
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スイッチの位置についても、同じような問題が起こりました。
我が家はリビング・ダイニングからキッチンを通って、パントリーを抜けた先に洗面所とお風呂があります。また、洗面所にはもうひとつ出入口があり、そこから玄関へと抜けられるので、全ての戸を開けておくと、ぐるっと1周できるようになっているんですが、そのこと自体はとても便利で重宝しています。
問題なのは、パントリーを照らすダウンライトのスイッチの位置です。
前述の通り、パントリーへ行くには「キッチン」か「洗面所」のどちらかを必ず通ることになります。
つまり、パントリーに行く時には、キッチンか洗面所の照明がついている。
そんなに広くないパントリーなので、そのどちらかの照明がついていれば真っ暗になることはないだろうから、パントリーの照明スイッチはパントリーの中にあればいい……はずでしたw
確かに、キッチンや洗面所の照明がついている時は、パントリーは真っ暗になりません。
余裕でスイッチも押せますし、照明をつけなくても十分な時もあるくらい。
ところが、です。
キッチンにも洗面所にも誰もいない(=照明がついていない)時、パントリーへの通り道でしかないキッチンの照明はつけないんです。
パントリーのスイッチはキッチンから見て、奥の方の壁(洗面所側)にあるため広くないとはいえ、遠いんです。スイッチ。
結果、暗いんです。パントリー。
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つまり何が言いたかったかと言いますと、「人は、頭の中だけでイメージした通りに動いてなんてくれない」ということです。自分や家族のことですら、です。
UI/UXを考える際、ついつい頭だけで考えてしまい、机上の空論に陥りがちですが、そういう理想的な、いわゆる論理的な考えを一旦よこに置いておいて、余計なものを取っ払い、感覚に身を任せて、なにかを感じてみるのも悪くないんじゃないでしょうか?
かのスティーブ・ジョブズの名言にもあるように
「人は見せてもらうまで、何が欲しいかわからないものだ」
と思うのです。
マイホームにまつわる体験談は、これ以外にも実はいっぱいあるんですが、それはまた別の機会に。
ご精読ありがとうございました。