2026.02.14 | テクノロジー

e6 project始動:NTT×TBSが挑む「AIテーマパーク」と新IPの全体像

生成AIが当たり前になった今、子どもたちに必要なのは「正解を覚える力」ではなく、「自分で選ぶ力」です。NTTとTBSは、その力を遊びの中で育む共同プロジェクト「e6 project」を始動しました。オリジナルIPと常設拠点を軸に、体験として社会に実装していく構想です。

プロジェクトの狙いと背景:AI時代に「決める力」が必要な理由

生成AIの普及により、知識だけでなく、アイデアや「もっともらしい答え」まで瞬時に提示される時代になりました。こうした環境では、情報を知っていること以上に、「無数の選択肢の中からどれを選ぶか」「何が自分の望みか」を判断し、自分で決める力が重要になります。
e6 projectが焦点を当てるのは、その判断の根にあるものとしての「感情(Emotion)」です。感情は単なる気分の揺れではなく、正解が一つに定まらない世界を進むための“羅針盤”として位置づけられています。好きかどうか、違和感があるか、心が動いたか。そうした内側の反応を自覚することが、「自分で決める」ための出発点になるという考え方です。また、AIを“学ぶ対象”として前面に出さない点も特徴です。まず心を動かす「物語」と「体験」を入口に置き、夢中で遊ぶ中で「これが好き」「こうしたい」という意思が立ち上がる設計を目指すと説明されています。
その入口として用意されるのが、次に紹介する完全オリジナルIPです。

取り組みの中核:完全オリジナルIP「Emotional Knight」とメディア展開

e6 projectの第一弾として開発されるのが、冒険ファンタジー作品「感情騎士 – エモーショナル・ナイト -(Emotional Knight)」です。物語は「見えない感情」を探す冒険を軸に展開され、子どもたちがストーリーを追う中で、自分の価値観に気づく構造を目指すとされています。
このIPは作品として完結させるのではなく、アニメ・ゲーム・グッズなど多角的に展開するメディアミックスが想定されています。日常の中で何度も触れられる形にすることで、世界観そのものを育て、子どもたちの中に「好き」や「気になる」を積み重ねていく狙いが見えます。
ここで大事なのは、「学び」を正面に掲げていないことです。教育コンテンツとして教え込むのではなく、まずエンターテインメントとして成立させる。その没入の中で、結果として自分の感情や選択に意識が向くように設計されている点が、e6 projectの一貫した思想になっています。
そして、この物語は画面の中だけで終わらず、次のステップとしてリアルな体験拠点へ接続していきます。

体験拠点「AIテーマパーク(仮称)」と、NTT×TBSの共創の意味

e6 projectのもう一つの柱が、オリジナルIPの世界観をリアルに体験できる常設拠点「AIテーマパーク(仮称)」の設立です。ここでは先端技術を活用し、子どもたちの行動や感情の変化をリアルタイムに捉えながら、ストーリーや環境が変化する体験を提供すると説明されています。ポイントは、体験が一律ではなく「一人ひとりに合わせて変化する」ことです。発表内容によれば、演出や難易度、物語の展開がリアルタイムに反応・進化する体験基盤を目指すとされています。子どもたちは物語の中に入り込み、AIと共に試行錯誤しながら、「自分で決める力」や創造性を育む拠点として構築していく構想です。

この体験を成立させるために、両社の強みが役割として整理されています。
NTTは次世代情報通信基盤「IOWN」や、NTT版LLM「tsuzumi 2」などの技術を統合し、体験の土台となる仕組みを担います。
一方、TBSは「探究学習」を推進するため、エデュテインメント専任部署「エデュテインメント事業センター」を新設し、ストーリーテリングの力を生かして没入できる世界観を構築します。
さらにe6 projectは、体験全体を「6つのE」と「3つの体験サイクル」で設計するとしています。6つのEはEducation / Entertainment / Experience / Emotion / Evolution / Epiphanyです。体験は「没入」「判断」「覚醒」の循環として整理され、遊びの中で意思が立ち上がり、子どもたちが自分自身をアップデートしていく流れを目指します。
第一弾となる体験コンテンツの詳細は、2026年2月下旬頃に追加発表予定です。現時点では全貌は明かされていませんが、物語とリアル体験を両輪にして設計している点が、このプロジェクトの核になっています。

まとめ

いかがだったでしょうか?
NTTとTBSの「e6 project」は、生成AIが普及する社会で子どもたちに必要な「自分で決める力」を、物語と体験の中で育てる構想です。
第一弾IP「Emotional Knight」と、常設拠点「AIテーマパーク(仮称)」を両輪にし、遊びの原体験を社会に実装しようとしています。
2026年2月下旬頃の追加発表で、体験がどのような形になるのかが次の注目点です。