2026.02.17 | テクノロジー

AirbnbはAIで何を変えようとしているのか

Airbnbが北米でカスタマーサポートの約3分の1をAIで処理していると発表しました。CEOのBrian Chesky氏は、コスト削減だけでなく品質面でも大きな変化があると説明しています。AIは裏方の効率化ツールなのか、それとも体験を形づくる存在なのか。Airbnbの動きから、その現在地を整理します。

AIが“対応する”時代から、“体験を設計する”時代へ

Airbnbは、自社開発のAIエージェントが米国とカナダにおけるカスタマーサポートの約3分の1を処理していると明らかにしました。さらに今後はこの仕組みを世界へ広げ、1年以内に、人間の担当者が対応しているすべての言語で全体の30%超をAIの音声とチャットが担う見込みだとしています。
注目すべきは、その説明の仕方です。Brian Chesky氏は決算説明会で、AI導入はコスト削減だけでなく、サービスの質を大きく変える可能性があると述べました。これは、AIが一部の問い合わせにおいては人間より適切に処理できると考えていることを示唆しています。

カスタマーサポートには、複雑な調整が必要な案件もありますが、予約確認や支払い状況の照会など、一定の手順に沿って処理できる問い合わせも多く含まれます。こうした領域では、過去の膨大な対応履歴を瞬時に参照し、同じ基準で回答できるAIの強みが活きます。対応が早く、説明がぶれないというだけで、利用者の体験は確実に安定します。
Airbnbが示しているのは、人とAIの置き換えではなく、役割の再設計です。標準化できる部分をAIに任せることで、人は判断や交渉が必要な場面に集中できる。この構造の変化は、単なる業務改善ではなく、サービスの感じ方そのものを変えていきます。そして同社は、サポート領域にとどまらない次の段階もすでに描いています。

Airbnbが描く“AI-native”体験の正体

AirbnbはAIを機能として追加するのではなく、サービスの中心に据える姿勢を打ち出しています。その象徴が、Metaで生成AIチームを率い、Llamaモデルの構築を主導したAhmad Al-Dahle氏のCTO就任です。経営陣は「AI-native」な体験を目指すと明言しました。これは、後付けではなく、AIを前提に設計するという意味合いです。
Brian Chesky氏は、将来的なアプリ像について「検索するだけではなく、“ユーザーを知っている”アプリになる」と説明しています。旅行先を探す機能にとどまらず、旅行全体の計画支援やホストの運営サポートまで視野に入れているということです。どこまでが実装済みかは明らかにされていませんが、方向性は明確に示されています。

その背景にあるのが、Airbnbの持つ独自資産です。具体的には、2億件の認証済み本人確認情報と、5億件の独自に蓄積されたレビュー。さらに、多くのゲストが利用しているホストとのメッセージ機能があります。これらは単なるテキスト生成AIでは再現できません。加えて同社は、保険やユーザー認証の仕組みを含め、18年かけてプラットフォームを築き、年間1000億ドル超の決済を処理していると説明しています。
現在、検索機能にもAIを組み込み始めており、トラフィックの「ごく一部」で会話型の検索を試験導入している段階です。将来的には検索内にスポンサー付きリスティングを統合する計画も示されています。また、社内でもエンジニアの約80%がAIツールを利用しており、100%を目指していると公表されています。
AIを外から重ねるのではなく、内部構造と結びつける。この設計思想こそが、Airbnbの現在の立ち位置を物語っています。

まとめ

いかがだったでしょうか?
AirbnbはAIを効率化の道具としてではなく、サービス設計の中心に組み込み始めています。
本人確認、レビュー、メッセージ、決済といった既存資産とAIを掛け合わせている点が特徴です。
AIの性能だけでなく、どの土台の上で動いているのかを見ることで、その本質が見えてきます。