2026.06.22 | テクノロジー

WordPressでAIボットを見える化するEdgeShaping Lite

ChatGPTやClaudeなどの生成AIが広がり、Webサイトを読む存在は人間だけではなくなっています。WordPressプラグイン「EdgeShaping Lite」は、GA4では見えにくいAIボットのアクセスを可視化するツールです。

GA4では見えにくいAIボットのアクセスをWordPressで確認できる

Webサイトのアクセス解析と聞くと、Google Analytics 4、いわゆるGA4を思い浮かべる人は多いと思います。どのページが読まれているのか、どこから訪問されたのかを確認するうえで、GA4はよく使われるツールです。
ただ、生成AIが広がるなかで、サイトを訪れる存在は人間だけではなくなっています。ChatGPT、Claude、Perplexityなどの生成AIは、Web上の情報を参照することがあります。その際に、AIボットと呼ばれるプログラムがサイトのページを読み込む場合があります。AIボットとは、人の代わりにWebページを自動で確認する仕組みのことです。
ここで問題になるのが、AIボットの動きは普段使っているアクセス解析に映りにくいという点です。GA4は主にJavaScriptを使って計測しています。JavaScriptとは、Webページ上で動くプログラムの一種です。人間がブラウザでページを開いたときには動きますが、AIボットの多く

はJavaScriptを実行しないため、GA4にはアクセスとして記録されない場合があります。つまり、実際にはAIに読まれていても、管理画面ではその動きが見えていない可能性があります。
mare interno合同会社が公開した「EdgeShaping Lite」は、この見えにくかったAIボットのアクセスをWordPress上で確認できるプラグインです。WordPress.org公式ディレクトリで無償公開されており、WordPress標準環境であれば、プラグインを有効化するだけで観測を始められます。
仕組みとしては、EdgeShaping LiteがサーバーサイドでAIボットの訪問を捕捉します。サーバーサイドとは、読者のブラウザではなく、Webサイトを動かしている裏側の処理部分のことです。WordPressではPHPという仕組みが使われており、EdgeShaping LiteはそのPHPレイヤーでアクセスを確認します。ブラウザ側の動きに頼らないため、GA4では見えにくいAIボットの訪問を把握しやすくなります。
管理画面では、どのAIボットが、どのページを、いつ読み込んだのかを確認できます。たとえば、ボット名、訪問URL、タイムスタンプが記録され、訪問頻度の高いボットやAIが多く訪れたページも見られます。対応するAIボットには、GPTBot、ClaudeBot、Perplexity、Googlebot、meta-externalagentなどが含まれます。
ただし、EdgeShaping LiteはAIボットをブロックするためのものではなく、コンテンツを変更するものでもありません。外部にデータを送信せず、記録はWordPressデータベース内に保持されます。また、CloudflareやCloudFrontなどのCDNを使っている環境では、キャッシュされたリクエストがPHPまで届かず、一部のアクセスが記録されない場合があります。まずは、自分のサイトがAIにどう読まれているのかを知るための入り口として使えるツールです。

AIと人間のアクセス差を見える化し、サイト改善のヒントにできる

AIボットのアクセスが見えるようになると、単に「アクセス数が増えたかどうか」だけではなく、人間の読者との違いにも目を向けられるようになります。たとえば、AIには読まれているのに検索からはクリックされていないページや、人間には読まれているもののAIにはあまり見られていないページが分かれば、サイトの状態を別の角度から見直せます。
mare interno合同会社の発表によると、同社サイトの実測では、GA4で計測されるアクセス数の約9倍にあたるAIボットのアクセスを観測したとされています。これはすべてのサイトに当てはまる数字ではありませんが、従来のアクセス解析だけでは見落としていた動きがあることを示す例といえます。
EdgeShaping Liteでは、Google Search Consoleと連携すること

で、「AHQGマトリクス」を使った分析もできます。Google Search Consoleは、Google検索で自分のサイトがどのように表示され、どれくらいクリックされたかを確認できるツールです。AHQGマトリクスでは、AIボットの訪問データと人間の検索クリックデータを組み合わせ、ページの状態を4つに分けて確認できます。
たとえば「LATENT GAP」は、AIには読まれているものの、人間の検索クリックにはまだつながっていないページを指します。「ALIGNED」は、AIにも人間にも届いている状態です。「STANDARD」は人間には届いているがAIにはあまり読まれていないページ、「INCUBATION」はAIにも人間にも届いていない育成段階のページを意味します。
このように分類して見ることで、ページごとの役割や届き方を整理しやすくなります。AIがよく訪れているのに人間のクリックが少ないページは、検索結果での見せ方や導線を見直すきっかけになるかもしれません。一方で、人間には読まれているのにAIにはあまり読まれていないページは、AIボットからの見え方を確認する材料になります。ここはサイトごとに結果が異なるため、実際のデータを見ながら判断することが大切です。
さらに、サイトマップとの照合によって、通常は気づきにくいURLの動きも見られます。サイトマップとは、サイト内にどのページがあるかを検索エンジンなどに伝える一覧です。サイトマップに存在しないのにAIが訪問しているURLは「Inferred Path」として表示されます。一方で、サイトマップには存在するのにAIにも人間にも届いていないページは「完全死角」として把握できます。
有償版の「EdgeShaping」では、Lite版の機能に加えて、ボット別・パス別の詳細ログ、用途分類フィルタ、用途分類別サマリー、REST API連携なども利用できます。REST APIとは、外部ツールとデータをやり取りするための仕組みです。BigQueryやLooker Studioなどと組み合わせて、観測ログをさらに活用する基盤として使えます。Lite版のデータはそのまま引き継げるため、まずは無償版でAIボットの動きを確認し、必要に応じて詳しい分析へ進む流れも考えられます。
EdgeShaping Liteは、単にアクセス数を見るためのツールというより、AIと人間の両方からサイトがどう見られているかを考えるための手がかりになります。これまで見えにくかったAIボットの動きを把握できることで、サイト運営を見直す視点も広がりそうです。

まとめ


いかがだったでしょうか?
今回のEdgeShaping Liteの発表を見て、AIボットのアクセスはこれまで思っていた以上に身近なテーマになっていると感じました。
GA4だけでは見えにくかったAIの動きが分かることで、自分のサイトが人間だけでなくAIからどう読まれているのかを考えるきっかけになりそうです。
WordPressでサイトを作成する際には、無償版から試して、自分のサイトにどんなAIボットが訪れているのか確認してみるのも良いかもしれませんね。