2026.07.09 | テクノロジー

Muse Imageとは?MetaのAI画像生成が自ら改善する仕組み

Metaは、画像生成モデル「Muse Image」の提供を開始し、動画生成モデル「Muse Video」のプレビューを公開しました。画像生成モデル「Muse Image」は、検索やコーディングツールを使い、自分の生成結果を振り返って修正する点が特徴です。あわせて、Muse Videoによる動画生成や、Meta AIアプリとmeta.aiでMuse Imageにより作成された画像に埋め込まれる電子透かし技術「Content Seal」も紹介されています。何が変わったのか、ひとつずつ見ていきましょう。

AIが推論し、改善する——ツール・自己改善・スケーリングの仕組み

Muse Imageは「エージェント型」と呼ばれるAIで、プロンプトから画像へと直接変換するのではなく、精度を高めるために検索やコーディングなどのツールを呼び出しながら動作します。
コーディングツールでは、コードを書いて実行し、正確なグラフやQRコードを含む画像の生成に活用し、コードを実行して得た図を参照することで、生成画像の正確性を高める仕組みです。また、同じくMetaが開発したAIモデルであるMuse Sparkと連携することで、アニメーションGIFや画像が埋め込まれたウェブサイト、インタラクティブなゲームの制作にもつながります。
検索ツールでは、必要に応じてウェブを検索し、リアルタイムの情報や現実世界の事実、視覚的な参照情報を画像生成に活用します。

Metaによると、現在の出来事や現実世界の事実に関わるプロンプトでは、特に事実精度が向上します。
さらに、このモデルには自分の出力結果を振り返り修正する「自己改善」の仕組みも備わっています。小さなミスであれば生成済みの画像を部分的に修正し、大きな問題がある場合はゼロから作り直す、あるいはツールを使うといった判断を自律的に行います。注目すべきは、この挙動がMetaによって意図的に設計されたものではない点です。強化学習の過程で、自己改善を行ったほうが画像の質が上がり、より高い報酬が得られると学んだ結果、自然に現れた動作です。
また、推論に使う計算量を増やすほど生成品質が上がる性質もあります。複数の画像を生成して最も良いものを選ぶ「Best-of-N」という手法は初期段階では効果的ですが、一定のレベルを超えると品質がほぼ頭打ちになります。一方、同じ計算量を推論プロセスに充てると品質はより長く伸び続け、さらにツール使用と組み合わせることで効果が相互に高まり、品質向上につながることが示されています。
画像生成AIが、単なる出力ツールから「改善のプロセスを持つ仕組み」へ近づいていることが伺えます。

実際に何ができるか——編集・合成・動画・透かし技術

Muse Imageは、ユーザーが指定した箇所だけを正確に変更する画像編集機能を搭載。さまざまな指示に対応でき、複数回の編集を重ねながら少しずつ理想の画像に近づけていく作業に向いています。
また、複数の参照画像から要素を取り出して一枚の画像に合成する機能も備えています。人物、物体、服装、スタイル、背景など、異なる画像から要素を組み合わせることができ、テキストと画像を交互に指示として入力する形式にも対応しています。
ベンチマーク(モデルの性能を測る評価指標)では、Metaの発表によると、2026年7月5日時点で、テキストから画像への生成、単一画像の編集、複数画像を使った編集のすべてのカテゴリにおいて、人間による好み評価のEloランキングで第2位に位置しています。

Muse Videoは現時点でプレビュー版として公開されており、クリエイター向け、およびMeta AIでの提供は近日予定されています。MetaはMuse Videoについて、プロンプトへの対応精度、映像の品質、時間的な一貫性において競争力のある性能を示していると説明しています。一方で、音声と映像の同期や、速い動きの物理的な正確さには改善の余地があるともしています。性能評価の面では、Metaの発表によると、2026年7月5日時点で、人間による好み評価のEloランキングで、テキストから動画への生成カテゴリにおいて第3位に位置しています。
また、Meta AIアプリとmeta.aiでMuse Imageにより作成された画像には、「Content Seal」と呼ばれる電子透かしが埋め込まれます。この透かしは目には見えませんが、画像をトリミングしたり、圧縮・リサイズ・スクリーンショットを行っても消えない仕組みです。画像にContent Sealの透かしが含まれているかを確認できる検出ツールもプレビューされており、動画への対応拡大も予定されています。
なお、Muse Image自体は現在、Meta AIアプリとmeta.ai、米国のInstagramストーリーズ、一部の国のWhatsAppで利用でき、Facebookにも近日対応予定です。Meta AIのソーシャル機能と組み合わせることで、友人との画像制作や、自分のInstagram写真のリメイクにも対応します。Metaは今後も、クリエイターや企業がMeta製品全体で動的なコンテンツを制作できるよう、画像・動画生成への投資を続けていく方針を示しています。
公式ページのサンプル画像を見ると、古い画像の復元や写真の合成でも仕上がりが自然で、編集機能の実用性を感じさせます。

まとめ

いかがだったでしょうか?
Muse Imageは、指示に従って画像を出力するだけでなく、検索やコーディングツールを使い、推論と自己改善を重ねながら品質を高める画像生成AIです。自己改善や計算量のスケーリングといった仕組みを内側に持ちながら、高精度な編集・合成に対応します。さらに、Muse Videoによる動画生成、Content Sealによる電子透かし技術まで、Metaのメディア生成技術全体として幅広い機能が示されています。
AIに何を作らせるかだけでなく、AIとどう一緒に作っていくかが、今後のクリエイティブの焦点になりそうです。