2026.07.16 | テクノロジー

Fujitsu AIドリブンモダナイゼーションとは?4つの特長を解説

長年使われてきた基幹システムには企業の業務ノウハウが蓄積される一方、大規模な刷新に必要な知識や人材をどのように確保するかが課題となっています。富士通は、生成AIと専門エンジニアの知見を組み合わせた「Fujitsu AIドリブンモダナイゼーションサービス」の提供を開始しました。どのような仕組みでシステム刷新を支えるのかを紹介します。

生成AIと専門知識で、レガシーシステム刷新の工程を見直す

富士通は、2026年7月14日から日本国内で「Fujitsu AIドリブンモダナイゼーションサービス」の提供を開始しました。本サービスでは、既存のプログラムを別の言語や構造へ書き換える「リライト」と、プログラムを大きく変更せず、新しい稼働環境へ移す「リホスト」を中心に支援します。
近年、DXやAXの取り組みが進むなか、その基盤となるレガシーシステムのモダナイゼーションが課題となっています。モダナイゼーションとは、長年使われてきた既存システムを、現在の技術環境に合わせて移行・再構築する取り組みです。
金融・公共・医療分野では頻繁な法改正への対応が必要となり、製造業や流通業では複雑な業務管理が求められます。

富士通の発表によると、こうした分野で長年培われてきた業務ノウハウは、レガシーシステムの中に蓄積されています。
本サービスで活用するのは、富士通が開発したAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」や、Cohereと共同開発した大規模言語モデル「Takane」、Anthropicの「Claude」、OpenAIの「GPT」などです。複数のAI技術に加え、レガシー技術に詳しい専門エンジニア「モダナイゼーションマイスター」の実践知も組み合わせます。
富士通は、AIによる自動化と、人が最終判断や補完を行う仕組みを組み合わせることで、大規模かつ複雑なモダナイゼーションを実現し、工程期間を約40%短縮できると説明しています。
レガシーシステムには企業ごとの業務ノウハウが蓄積されているため、単純な自動変換だけでは対応しにくい部分もあります。AIと人が役割を分担する設計は、今回のサービスを理解するうえで重要な点です。続いて、サービスを構成する4つの特長を見ていきます。

Fujitsu AIドリブンモダナイゼーションを支える4つの仕組み

AIドリブンモダナイゼーションサービス」では、AIによる工程の自動化、複数AIの活用、過去のプロジェクト知識を学習した専用AIエージェント、利用企業向けのAIサービス基盤という4つの仕組みを取り入れています。


【AIによる自動化でモダナイゼーションの工程を効率化】
本サービスでは、対象となるレガシー資産の各種情報をAIが横断的に分析し、AIが活用しやすい「AI-Readyな構造化データ」として一元管理します。工程ごとに異なりやすい判断基準をそろえ、手戻りや品質のばらつきを抑える仕組みです。
変換作業では、モダナイゼーションの自動化に特化して開発されたAIエージェントが、複数の処理を統合・制御し、タスクを並行して進めます。プログラム言語の変換と検証を自動化する「ハーネスエンジニアリング」や、変換結果を継続的な改善につなげる「ループエンジニアリング」も活用します。
リライトに関する変換工程では、単純にコードを別の言語へ機械的に置き換えるのではなく、オブジェクト指向に基づく、保守性や拡張性の高いJavaアプリケーションへの移行を可能にするとしています。また、最終的な判断や補完には人が関わるHuman-in-the-loopを取り入れ、品質の一貫性の確保とリスクの抑制を図ります。

【複数のAIを組み合わせるマルチAI型モダナイゼーション】
「Fujitsu Kozuchi」と「Takane」を中核に、複数のAIエージェントが連携して業務を進めます。Anthropicの「Claude」やOpenAIの「GPT」なども含め、対象となる業務やプログラムの特性、求められるセキュリティ水準に応じてAIを組み合わせる仕組みです。
利用企業が個々のAIを選定して運用するのではなく、富士通がAI技術を選び、トランスフォーメーションサービスとして提供します。富士通は、利用企業がAIの選択や運用負荷を意識することなく、業務変革やROI(投資対効果)の創出に取り組めると説明しています。

【過去のプロジェクト知識を学習した専用AIエージェント】
専用AIエージェントには、富士通が数千規模のプロジェクトで蓄積してきた実績や成功・失敗事例などを、言語化・デジタル化した知見として学習させています。富士通は、モダナイゼーションに必要な知識を場所や時間にとらわれずに活用し、再現性・信頼性・確実性を備えた支援につなげるとしています。

【利用企業向けのAIサービス基盤を順次提供】
富士通は2026年3月から、設計書自動生成サービス「Fujitsu Application Transform powered by Fujitsu Kozuchi」を提供しています。今回発表されたサービスでは、富士通がAI技術を選定・採用し、モダナイゼーションに特化したトランスフォーメーションサービスとして提供します。
今後は、本サービスで得た実践知を活用し、利用企業自身がモダナイゼーションを実行するためのAIサービス基盤も順次提供する方針です。

特に重要なのは、特定のAIにすべてを任せるのではなく、業務やセキュリティ要件に応じて複数のAIを組み合わせる点です。技術の選択までサービス側が担うことで、利用企業の運用負担を抑える考え方が示されています。

まとめ

いかがだったでしょうか?
「Fujitsu AIドリブンモダナイゼーションサービス」は、複数のAIと専門エンジニアの知見を組み合わせ、レガシーシステムの分析・変換・検証を支援するサービスです。過去のプロジェクトで蓄積した知識を活用するとともに、人が最終判断や補完を行うことで、品質の一貫性確保とリスク抑制を図ります。富士通は、こうした仕組みによって工程期間を約40%短縮できると説明しており、今後は利用企業自身がモダナイゼーションを実行するためのAIサービス基盤も順次提供される予定です。
レガシーシステムの刷新では、作業を自動化するだけでなく、蓄積された業務知識をどのように引き継ぐかも欠かせません。今回のサービスは、その両方をAIと人の協働で支える取り組みとして位置づけられます。