2026.07.21 | テクノロジー

NVIDIAとNoetra、2万7500基超GPUの国家AI基盤を構築

日本政府と産業界、NVIDIAが連携し、フィジカルAIを支える国家規模のAIインフラが始動します。Noetra株式会社が構築するAIファクトリーには大規模な計算基盤が導入され、製造や物流、ヘルスケア、通信などの産業分野における日本のAIエコシステムの強化を支える計画です。本記事では、その仕組みと日本が目指す方向をわかりやすく解説します。

2万7,500基超のGPUを備える国家規模のAIファクトリー

NVIDIAは2026年7月16日、Noetra株式会社と連携し、日本で「NVIDIA Vera Rubin AIファクトリー」を構築すると発表しました。NVIDIAの発表によると、フィジカルAIを対象とした国家規模のAIインフラとしては、世界初の取り組みです。
AIファクトリーはNoetraが構築し、13,750基以上のNVIDIA Vera CPUと、27,500基以上のNVIDIA Rubin GPUを導入する予定です。NVIDIA DSXプラットフォームをベースとしたデータセンターとして140MWの容量を提供し、1兆パラメータ規模のAIモデルの学習を支援する計画です。
設備には、NVIDIA Vera Rubin NVL72のラック構成を採用し、NVIDIA Spectrum-X Ethernetネットワーキングによって各システムを接続・スケールします。

さらに、NVIDIA BlueField DPU、密接に共同設計されたシリコン、システム、ソフトウェアを統合することで、画期的なAIパフォーマンスの実現とトークンコストの削減、最先端のAIトレーニングに向けた大規模な拡張性を目指します。
基盤となるNVIDIA DSXは、AIファクトリー向けのリファレンスデザインとプラットフォームを提供します。インフラ構築事業者が本番環境へ移行するまでの期間を短縮するとともに、メガワット当たりのトークン処理能力を高め、より高い信頼性と効率性で運用できるよう支援する仕組みです。
経済産業省の支援を受ける本取り組みは、日本の製造に関する専門知識や実世界の産業データ、そして世界のテクノロジーリーダーの知見を結集し、フィジカルAIの開発へ生かすことを目指しています。
大規模な計算基盤を整備するだけでなく、日本の産業データや製造現場の知見を、AI開発に活用できる環境へつなげる点が今回の取り組みの特徴です。今後は、この計算能力を具体的なモデル開発や産業課題の解決にどう生かすかが重要になるでしょう。

日本の産業データを生かし、フィジカルAIの基盤モデルを開発

AIファクトリーは、経済産業省が進める「AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」、通称「FRONTiaプロジェクト」に計算基盤を提供します。プロジェクトでは、日本の製造現場の強みである技術基盤と世界のイノベーターの協業を組み合わせ、信頼性の高いマルチモーダル基盤モデルの開発を目指します。
開発する基盤モデルは、AIエージェント、デジタルツイン、ロボティクス、その他のフィジカルAIアプリケーションの開発を可能にするものです。
Noetraは、開発するマルチモーダル基盤モデルの事前学習済みの重みを、国内のモデル開発者や企業へ広く提供する予定です。

これにより、国内の企業は既存の学習成果をベースに、それぞれの用途に合わせた開発を加速させることができます。
開発には、NVIDIA Nemotron、NVIDIA Cosmos、NVIDIA Isaac GR00Tのオープンモデルや、NVIDIA NeMoライブラリなどのソフトウェアも活用・提供される予定です。これらを通じて、国内の開発者や企業におけるエージェント型AIやフィジカルAIアプリケーションの開発が推進されます。
2026年3月に公表された日本の「AIロボティクス戦略」では、2040年までに世界のAIロボティクス市場の30%以上を獲得し、推定1,330億ドル規模の事業を実現する目標が掲げられています。今回の計画は、日本が持つものづくりの強みを基盤モデルへ取り込み、その成果を国内の企業や研究機関が利用できる形で共有しながら、フィジカルAIの社会実装につなげようとする取り組みです。
基盤モデルの学習成果が広く提供されれば、企業がゼロからモデルを開発する負担を抑え、それぞれの現場に適したフィジカルAIを開発しやすくなると考えられます。日本のものづくりの知見を、国内外で利用できる技術へ発展させられるかが今後の焦点です。

まとめ

いかがだったでしょうか?
日本政府と産業界、NVIDIAが進める今回の取り組みでは、国家規模のAIファクトリーを整備し、日本の産業データを生かしたフィジカルAI向け基盤モデルの開発を目指します。開発成果は国内の企業や研究機関にも提供される予定で、製造や物流、ヘルスケア、通信などの分野での利用が想定されています。今後は、AIファクトリーの構築状況に加え、基盤モデルの提供方法や、産業現場での具体的な活用事例が注目されます。