電子カルテ連動型生成AIが契約300件突破、契約拡大の背景を解説
電子カルテと連動し、医療文書の作成を支援する「生成AIサービス」が、提供開始から約10か月で契約300件を突破しました。背景には、文書作成の負担を減らしたい医療現場のニーズと、外部サービス利用時のセキュリティへの不安があります。本記事では、契約が拡大した背景と、2026年8月に追加される3つの機能を紹介します。
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契約300件を支えた、電子カルテ連携と安全な利用環境
株式会社ソフトウェア・サービスが提供する「生成AIサービス」は、2025年9月のリリースから約10か月で契約300件を突破しました。同社は、契約が拡大した背景として、医療現場の負担軽減に対するニーズと、安全な外部アクセス環境の二点を挙げています。一つは、診療報酬改定への対応や医療人材不足を受け、退院サマリなどの文書作成にかかる負担を軽減したいという医療現場のニーズです。もう一つは、生成AIとあわせて、安全に外部サービスへ接続できる環境を提供している点です。
サービスは電子カルテ内の診療データを自動または簡単な操作で抽出し、退院サマリ、看護サマリ、診療情報提供書、汎用文書の作成を支援します。退院サマリと看護サマリは、患者の退院予定日に合わせた自動作成にも対応しており、生成結果は電子カルテ内で確認できます。

生成された文章は簡単な操作で電子カルテへ引用・転記でき、日常的な文書作成の負担軽減につなげられます。
生成AIには、Amazon Web Services(AWS)の「Amazon Bedrock」を通じて、Anthropicの大規模言語モデル「Claude」が使われています。大規模言語モデルとは、多くの文章データをもとに、指示に応じた文章の作成や要約を行うAIです。
医療情報を外部サービスで扱う際の不安に対しては、セキュリティマネージド回線サービス「Linqual Gateway」を組み合わせています。接続を無条件に信頼せず、利用者や端末などを確認する「ゼロトラスト」の考え方を採用し、医療情報を安全に扱うための「3省2ガイドライン」への対応を考慮した環境を提供します。同社は、生成AIサービスと安全な通信環境をまとめて提供することで、セキュリティへの懸念を理由とした導入見送りの低減につながっていると説明しています。
文書作成の支援と安全な接続環境に加え、2026年8月からは、導入医療機関の声を反映した3つの機能が追加されます。なお、本サービスは、同社の電子カルテシステムを利用している医療機関に限って提供されます。
症状詳記からカルテ要約まで、2026年8月に加わる3つの機能

株式会社ソフトウェア・サービスは、医療現場の課題を継続的に開発へ反映する方針のもと、2026年8月から「症状詳記」「カルテAI要約機能」「生成AIプロンプト共有サービス」を現行費用の範囲内で提供します。
「症状詳記」は、治療や検査が診療報酬の算定上必要だった理由を説明する文書です。作成には複数の診療情報を正確に参照する必要があるため、医師にとって負担の大きい業務の一つとされています。新機能では、編集画面から1クリックで生成AIを呼び出し、会計情報と電子カルテ情報をもとに下書きを作成します。生成内容に事実と異なる情報が含まれる可能性を考慮し、最終的には、医師が確認・編集したうえで使用の可否を判断します。
「カルテAI要約機能」は、カルテ記事や検査データ、レポートなどを自動で取得し、職種や利用場面に合わせて要約します。救急外来サマリや診療経過サマリなど、用途ごとのプロンプトがあらかじめ用意されており、医師だけでなく、看護師や薬剤師、リハビリスタッフなど、さまざまな職種での利用を見込んでいます。プロンプトとは、AIに作業内容や条件を伝える指示文のことです。要約結果はワンクリックで電子カルテへ引用・転記できますが、内容は利用者が確認する必要があります。
施設ごとの活用方法を共有するために用意されるのが、「生成AIプロンプト共有サービス」です。同社のプライベートクラウド基盤「SSIプラットフォーム」上で、導入医療機関がプロンプトや活用事例を共有できます。プロンプトのアップロードやダウンロードに加え、他施設の事例をタイトルや分類から探したり、コメント機能で質問や情報交換をしたりすることも可能です。各施設に蓄積されたプロンプトや活用方法を共有し、ほかの医療機関でも参考にできる仕組みです。
症状詳記とカルテAI要約機能は、AIに判断を任せきるのではなく、医療従事者による確認を前提としています。3つの機能を通じて、文書作成や情報収集の負担を減らし、診療や看護など本来の業務に充てる時間を生み出すことが目指されています。なお、今後追加される別の機能については、内容や規模に応じて費用が発生する場合があります。
まとめ

いかがだったでしょうか?
電子カルテ連動型の「生成AIサービス」は、医療文書の作成支援と、安全な外部アクセス環境を組み合わせたサービスです。
2026年8月には、症状詳記、カルテ要約、プロンプト共有の3機能が加わります。こうした機能によって文書作成や情報収集の負担が減れば、医療従事者が診療や看護に向き合う時間も増えていきそうです。
ただし、生成AIは診断や治療を行うものではなく、出力内容は医療従事者による確認が必要です。AIに任せきるのではなく、人が内容を確かめながら活用することが、医療現場で安心して使うための重要なポイントだと感じました。