2026.08.08 | テクノロジー

Cloudflare Walletsとは?AIエージェント向け機能や仕組みを解説

AIエージェントが自動でAPIやコンテンツを利用する場面が増える一方で、登録や支払い、本人確認などは人向けの仕組みが中心で、利用しにくい課題がありました。Cloudflareは、こうした課題の解決を目指し、「Cloudflare Wallets」を発表しました。本記事では、ウォレットの仕組みや特徴、AIエージェント時代に期待される役割を分かりやすく紹介します。

AIエージェント専用「Cloudflare Wallets」とは?仕組みと特徴

AIエージェントが新しいAPIやサービスを利用するには、これまで人向けに作られた登録画面でアカウントを作成し、支払い方法を設定したうえでAPIキーを発行するといった手順が必要でした。APIキーとは、サービスを利用するために発行される認証情報です。しかし、AIエージェントには安定した識別情報や支払い手段が用意されていないことが多く、人の手を介さなければサービスを利用しにくいという課題がありました。
Cloudflareが発表した「Cloudflare Wallets」は、こうした課題の解決を目的としたウォレット機能です。Cloudflare Walletsでは今後、ステーブルコインの保管やサービスの購入、Webを通じた資金の受け取りが可能になる予定です。

ステーブルコインとは、価格変動を抑えるよう設計された暗号資産で、決済に利用しやすい特徴があります。また、利用者にはCloudflare Walletのハンドル(ユーザー名)が割り当てられ、加盟店とのやり取りに利用できる安定した識別情報として活用される予定です。
Cloudflare Walletsには、「アカウントウォレット」と「仮想ウォレット」の2種類が用意される予定です。アカウントウォレットでは、利用者が資金の追加や引き出しを行い、AIエージェントが管理する仮想ウォレットへ支出権限を委任できるようになる予定です。一方、仮想ウォレットはAIエージェント専用で、APIキーを利用して動作します。利用者は支出上限や許可するサービス、1回あたりの取引金額などを設定できるため、エージェントへ一定の権限を委任しながらも、想定以上の支出を防げる仕組みになっています。
Cloudflareは「Monetization Gateway」と呼ばれる仕組みも提供しています。これは、WebサイトやAPIの提供者が利用料金を受け取るための機能で、x402プロトコルによるマイクロペイメントに対応しています。Cloudflare Walletsは、このMonetization Gatewayと組み合わせることで、AIエージェントがAPIやMCPツール、コンテンツを人の手を介さずに購入しやすくする役割を担う予定です。
Cloudflareは、こうした仕組みによってAIエージェントが多くのサービスを試し、自分の用途に合ったAPIを見つけやすくなる環境を目指しています。続いて、Cloudflare Walletsが支払いだけでなく、AIエージェントの識別や信頼性の向上にどのような役割を果たすのかを見ていきましょう。

Cloudflare Walletsが目指すエージェント型インターネットとは

Cloudflare Walletsは、支払い機能だけでなく、AIエージェントが自分の身元を示しながらサービスを利用できる仕組みも提供します。
現在は、AIエージェントがWebサイトやAPIへアクセスしても、どの組織や利用者の代理として動いているのかをサービス提供者が判断しにくい場合があります。
そのため、人向けには提供できる無料トライアルや利用特典を、AIエージェントへ同じように適用することが難しいという課題がありました。
Cloudflareは、この課題に対応するため、ウォレットを「cloudflare.pay」という識別子と連携できるようにしました。

例えば、「research.example.cloudflare.pay」のような人が読みやすい形式でAIエージェントを識別できるため、サービス提供者は、そのエージェントがどの組織の代理として動いているのかを把握しやすくなります。識別情報を公開するかどうかは利用者が選択できる仕組みです。
また、Cloudflareは、人がAIエージェントへ権限を委任し、安全にサービスを売買できる環境づくりも目指しています。エージェントが自律的にAPIやコンテンツを購入できれば、人が毎回ログインや決済を行う手間を減らせます。一方で、仮想ウォレットの支出上限や利用ルールは利用者が設定できるため、必要以上の支出を防ぎながら運用できるよう配慮されています。
さらに、Cloudflareは、人が読みやすい識別子と公開鍵を組み合わせることで、AIエージェントの識別や、どのアカウントに紐づくエージェントなのかを確認しやすくする考えも示しています。今後、エージェントの識別に関する標準化が進んだ場合には、それらの仕組みにも対応していく方針です。
Cloudflareによると、最終的には「Monetization Gateway」「Cloudflare Wallets」「エージェントID」を組み合わせることで、人が都度操作しなくても、AIエージェントがAPIやコンテンツを購入できる環境の実現を目指しています。これはCloudflareが示している将来像であり、今後の標準化や普及状況によって実際の活用方法は変わる可能性があります。AIエージェントの利用が広がる中で、こうした基盤がどのように発展していくのか、今後の動向にも注目されます。

まとめ

いかがだったでしょうか?
Cloudflare Walletsは、AIエージェントがAPIやコンテンツを利用する際の支払いや権限管理、識別情報をまとめて扱えるようにする仕組みです。エージェント専用のウォレットやIDを活用することで、人の手を介さずにサービスを利用しやすい環境づくりを目指しています。Cloudflareが描くエージェント型インターネットが今後どのように実現していくのか、その動向にも注目が集まりそうですね。