2026.08.13 | テクノロジー

HykeWorks「生成AIモードβ」とは?野生動物を画像から推定

株式会社ハイクは、AI画像解析クラウド「HykeWorks」のProライセンス向けに、新機能「生成AIモードβ」の提供を開始しました。撮影画像から動物の種名候補だけでなく、判定理由や信頼度、類似候補なども提示します。本記事では、新機能の特徴や従来AIとの違い、想定される活用方法を紹介します。

動物の種名候補と判定理由を示す「生成AIモードβ」とは

「HykeWorks(ハイクワークス)」は、株式会社ハイクが開発するAI画像解析クラウドです。これまでも画像認識AIを使い、クマ・シカ・イノシシなど国内の主要な野生動物を自動で判定し、対象となる動物が撮影された際の通知や画像整理を支援してきました。
Proライセンス向けに8月5日から提供を開始した「生成AIモードβ」では、撮影画像に写った動物の体形や毛色、模様、角、耳、尾などを生成AIが読み取り、種名の候補を提示します。従来AIでは対象外だった動物や、学習対象が少なく分類が難しかった動物についても、画像から確認できる特徴をもとに推定します。
株式会社ハイクは、従来AIでは判定できなかったものの、生成AIで推定できる動物の例として、ニホンカモシカ、タヌキ、アライグマ、キツネ、アナグマ、ハクビシン、コウモリなどを挙げています。

さらに、スズメやキジ、ハト、カラスといった鳥類のほか、タカやフクロウなどの猛禽類も例として示しています。ただし、撮影条件や画像の鮮明さによっては推定できない場合があります。
生成AIモードβでは、種名の候補だけでなく、「なぜその動物だと考えられるのか」も確認できます。解析結果には判定理由や信頼度、類似する候補、画像から確認できる特徴、対象箇所などが表示されるため、利用者は結果とあわせて判断材料を確認できる仕組みです。
また、株式会社ハイクが確認した範囲では、遠隔監視カメラと連携する国内の野生動物監視クラウドサービスとして、生成AIによる種名候補・判定理由・類似候補の提示機能を実装したのは初めてとしています。
利用する際は、HykeWorksのユーザー設定から「生成AIモードβ」を選択します。それ以降にハイクカムが撮影・アップロードしたデータが生成AIによる解析の対象となり、Proユーザーは追加料金なしで利用できます。専用ソフトのインストールや複雑な設定、生成AIへの指示文の入力は必要ありません。判定結果はHykeWorksの画面上で確認できるほか、設定した条件に応じて通知メールにも表示できます。
幅広い動物を推定できるようになった一方で、従来AIにも適した役割があります。では、2つのAIはどのように使い分けるのでしょうか。

従来AIと生成AIを使い分け、野生動物の確認作業を支援

HykeWorksでは、従来AIと「生成AIモードβ」を用途に応じて使い分けることを想定しています。
従来AIが得意とするのは、クマ・シカ・イノシシなど、あらかじめ設定された主要な動物の迅速で安定した検出です。特定の動物が撮影されていないか継続的に確認する常時監視や、最初の段階で対象を見つける一次検出に適しています。
一方、生成AIモードβは、従来AIで判別できなかった動物を詳しく調べたり、より具体的な種名候補や判定理由、類似候補を確認したりする用途に適しています。例えば、「鳥」「ネズミ」といった大きな分類から具体的な候補を確認したい場合や、夜間・遠距離から撮影した画像で複数の候補を比較したい場合などです。

野生動物調査や環境調査における一次判定での利用も想定されています。ただし、従来AIと比べ、生成AIによる画像解析には一定の時間が必要です。
利用するうえで注意したいのが、生成AIによる結果は確定的な種同定ではないことです。画像から得られる情報をもとにした推定であり、画像の品質や撮影距離、角度、夜間撮影、被写体の一部が隠れている場合など、さまざまな条件によって結果が変わる可能性があります。表示される信頼度についても生成AIが算出する参考値であり、判定の正確性を保証する数値ではありません。
希少種の確認、学術調査、被害対策、捕獲判断など、高い正確性が求められる用途では、生成AIの結果だけで判断せず、専門家による確認や現地調査と組み合わせることが推奨されています。
株式会社ハイクは、すべてを生成AIに置き換えるのではなく、速度と安定性に優れた従来AIと、幅広い候補を提示できる生成AIを組み合わせる方針です。今後は利用者から寄せられる意見や実際の撮影画像をもとに、判定画面の改善や対象動物の拡充、画像解析技術の向上を進めるとしています。
迅速な検出に適した従来AIと、幅広い候補や判定理由を提示する生成AI。それぞれの得意分野を生かして役割を分けることが、野生動物の監視や調査で活用するうえでのポイントとなります。

まとめ

いかがだったでしょうか?
「生成AIモードβ」は、従来AIでは判別が難しかった動物についても、画像から種名候補や判定理由、類似候補などを提示するHykeWorksの新機能です。
従来AIの速さと安定性、生成AIの幅広い推定力を使い分けることで、野生動物の確認作業をより柔軟に進められる点が印象的です。
判定結果はあくまで推定ですが、AIにすべてを任せるのではなく、人の確認と組み合わせながら活用する考え方は、現場で生成AIを使ううえで参考になりそうですね。