2026.08.25 | テクノロジー

Google「Operation Blue Skies」とは?AIで飛行機雲を回避

Googleは、AIを活用して航空機が温暖化につながる飛行機雲を避ける「Operation Blue Skies」を発表しました。英国政府や航空業界と連携し、北大西洋の空域で大規模な実証実験を行います。本記事では、飛行機雲が気候に与える影響やAIによる回避の仕組み、プロジェクトの狙いを分かりやすく紹介します。

AIで飛行機雲を避ける「Operation Blue Skies」とは

「Operation Blue Skies」は、Googleが英国政府や航空業界と連携し、AIを活用して航空による気候への影響を減らす取り組みです。対象となるのは、飛行機の後ろに白い線として現れる「飛行機雲(contrail)」です。
飛行機雲は、ジェットエンジンの排気に含まれるすす粒子の周囲で水蒸気が凝結することで形成されます。一部の飛行機雲は長く残り、地球から宇宙へ逃げる熱を閉じ込めることで、気候を温める方向に作用することがあります。Googleの発表によると、こうした温暖化作用を持つ飛行機雲は、航空による気候への影響のおよそ3分の1を占めます。
Googleはこれまで、AIを使って飛行機雲が発生しやすい領域を予測し、航空機がその場所を避ける方法を研究してきました。

American Airlinesとの実証をはじめ、航空管制を担うEUROCONTROLのMaastricht Upper Area Control Centre(MUAC)や、飛行計画ソフトウェアを提供するFlightKeysなどとも連携。AIによる予測をもとに飛行経路を調整し、通常の航空運用の範囲内で飛行機雲が発生しやすい領域を避ける方法を検証してきました。
Operation Blue Skiesでは、こうした個別の試験から対象を広げ、北大西洋航路東側に位置する「Shanwick空域」で実証します。同空域は、世界の飛行機雲による温暖化の約5%を占めるとされており、Googleは今回の取り組みを、海洋上の空域全体を対象に飛行機雲の回避を試みる、世界初の政府支援による実証実験と位置づけています。
プログラムは30カ月にわたり、約4カ月間の運用試験を2回実施する予定です。試験時間中には年間約1万便がShanwick空域を通過し、そのうち飛行機雲が発生しやすい空域を通る一部の便について、飛行経路をわずかに変更します。
個々の航空会社との試験から、広大な空域を対象とした実証へ。実際の航空運用の中で取り組むためには、AIだけでなく、航空管制や気象、研究機関との連携が欠かせません。

Google・英国政府・航空業界が連携、AIで航空の気候への影響を減らせるか

Operation Blue Skiesには、Google UKをはじめ、航空管制、気象、研究など異なる分野の組織が参加しています。それぞれが役割を分担することで、AIによる予測を実際の航空運用につなげ、その結果まで検証できる体制を整えます。
中心となるGoogle UKは、温暖化につながる飛行機雲を予測・回避するAIモデルを開発し、機械学習と衛星画像を使って取り組みの効果を追跡・検証します。一方、英国の航空管制サービスを担うNATSは、試験空域での運用や航空管制の調整、安全性評価、管制官のトレーニングを担当。Contrails.orgは、予測の評価や試験条件の設計、データ分析を支援します。

実際に飛行機雲を避けられたとしても、それだけで気候への影響を判断できるわけではありません。そこでImperial College LondonとUniversity of Cambridgeが試験結果を評価し、気候への影響を独立した立場から検証します。さらに、英国の気象機関Met Officeが新たな飛行機雲の予測体制を整備し、試験期間を通じて気象面の精度を支えます。AIが予測し、航空管制が安全な運航につなげ、研究機関が結果を確かめるという流れで実証が進められるわけです。
資金面では、業界パートナーと英国運輸省(DfT)がATI Programmeを通じて共同で支援します。政府の助成金はすべて学術機関、非営利団体、航空分野のパートナーへ直接配分され、Google UKは無償で参加。AI研究の専門知識やエンジニアリング、高性能コンピューティング環境など、140万ポンド相当を現物で提供します。
飛行機雲の回避については、航空による気候への影響を減らすうえで、費用対効果の高い方法の一つになり得ることが研究で示されています。Operation Blue Skiesが目指すのは、飛行機雲を避ける方法が実際の航空運用でも実行可能であることを示し、航空による気候への影響を大きく減らすための空域管理のモデルを提示することです。
AIによる予測だけで解決するのではなく、航空管制、気象、研究機関までが連携し、実際の空で結果を確かめる。Operation Blue Skiesは、AI研究を現実の航空運用へどう結びつけるのかを見るうえでも注目したい取り組みです。

まとめ

いかがだったでしょうか?
Operation Blue Skiesは、AIで温暖化につながる飛行機雲を予測し、航空機の経路を調整することで、航空による気候への影響を減らせるか検証する取り組みです。
Googleだけでなく、英国政府や航空管制、気象・研究機関が連携し、北大西洋の空域を舞台に大規模な実証へ進みます。
AIによる予測を実際の航空運用に組み込み、安全性を保ちながら飛行機雲をどこまで減らせるのか、今後の実証結果に注目したいですね。