2026.08.27 | テクノロジー

博報堂とインキュデータ、AI×生活者視点のサービス開発支援を開始

生成AIやAIエージェントの活用が広がるなか、企業と生活者の接点にも変化が生まれています。博報堂と、ソフトバンク・博報堂・Armの出資により2019年に設立されたインキュデータは、AIを活用したサービス開発を構想からPoCまで支援する「AI Service Design Program」の提供を開始すると発表しました。サービスづくりをどう支えるのか、その背景と仕組みを紹介します。

AI時代、企業と生活者の接点はどう変わるのか

生成AIやAIエージェントの進化により、企業と生活者の接点は変わりつつあります。これまでは、生活者自身が商品やサービスを検索し、情報を比較したうえで選択する流れが一般的でした。一方、AIが生活者の意図や状況を理解し、相談への対応や提案、さらに実行まで支援する体験へと広がりつつあると、博報堂とインキュデータは説明しています。
こうした変化に伴い、企業にはAIを導入すること自体ではなく、AI時代に選ばれるサービスをどのように設計するかという視点も求められています。ただし両社によると、多くの企業ではAI活用が業務効率化やコンテンツ生成にとどまり、生活者との新たな関係性を生み出すサービス開発や顧客体験の設計までには至っていないのが現状です。

両社は、AIを単なる業務効率化の手段ではなく、生活者との新たな関係性を生み出す「顧客接点」として活用することを重視しています。こうした変化は、企業側にも従来とは異なるサービス体験の設計を求めています。
両社はこうした考えのもと、博報堂が培ってきた生活者理解に基づくサービス企画・体験設計の知見と、インキュデータが持つデータ活用、AI技術、AIガバナンスの知見を組み合わせ、「AI Service Design Program」の提供を開始すると発表しました。
AIの導入自体を目的にするのではなく、生活者にとってどのような価値や体験につながるのかを起点に考えることが、これからのサービス設計では重要になりそうです。では、サービスのアイデアをどのように形にしていくのでしょうか。

構想からPoCまで支援する「AI Service Design Program」

「AI Service Design Program」は、新たなサービスの構想からPoCの設計・実装・検証までを一気通貫で支援するプログラムです。PoCとは「Proof of Concept」の略で、新しいアイデアや技術が実現可能かどうかを、試作や検証を通じて確かめる取り組みを指します。
プログラムでは、まずAI時代の生活者行動や市場環境を踏まえて新たなサービス機会を探索し、同時に企業が保有するデータやシステム資産、現在のAI活用状況を整理します。そのうえで、実現可能性を考慮しながらAI活用の方向性を検討します。
続いて、生活者にとっての価値と事業性の両面から、サービスコンセプトや体験シナリオ、UX/UI、プロトタイプを具体化します。

プロトタイプなどを用いて生活者の受容性を確かめながらPoCを設計し、その後は必要なデータや開発要件、運用体制を整理して実装・検証へと進みます。
一連の工程では、両社の知見を反映した独自AIエージェント「AI CXperts™」が探索・分析・生成を支援し、博報堂とインキュデータの専門人材が持つ生活者・ブランド・事業の視点を組み合わせます。博報堂は生活者理解に基づくサービス企画や体験設計を、インキュデータはデータ解析やAI技術の実装を担います。
博報堂とインキュデータの発表によると、「AI CXperts™」と専門人材を組み合わせることで、サービス機会の構想からPoC設計までに要する時間を、従来と比べて最大約50%短縮するとしています。さらにPoCの実装・検証まで支援することで、構想段階のアイデアを着実にサービス化へつなげていく方針です。
AIを活用したサービス開発では、アイデアを考えるだけでなく、実現可能性や生活者の受容性を確かめながら具体化していくことが重要です。構想からPoCまでを一連の流れとして進められる点は、サービス化に向けた検討を前に進めるうえで有効だと考えられます。

まとめ

いかがだったでしょうか?
博報堂とインキュデータの「AI Service Design Program」は、生活者視点とデータ・AI技術を組み合わせ、サービスの構想からPoCの実装・検証までを支援するプログラムです。独自AIエージェント「AI CXperts™」と専門人材を活用し、AIを生活者との新たな接点につなげるサービス開発を支援します。
生成AIの活用が広がるなか、企業には業務効率化だけでなく、AIを生活者との接点にどう生かすかという視点も求められます。AI活用の対象を社内業務からサービスや顧客体験へ広げて考えることは、企業のAI活用を次の段階へ進めるうえで重要な視点といえるでしょう。