2026.08.31 | テクノロジー

フィジカルAI清掃ロボット「Loki」とは?国内初のオフィスビル実証へ

日鉄興和不動産とJDSCは、フィジカルAI清掃ロボット「Loki」の国内実証を開始しました。人手不足や作業負荷が課題となるオフィスビルの水回り清掃で、フィジカルAI清掃ロボットはどこまで活躍できるのでしょうか。本記事では、Lokiの特徴や実証内容、人とロボットが連携するビル運営の可能性を紹介します。

フィジカルAI清掃ロボット「Loki」とは?国内初のオフィスビル実証へ

「Loki」は、スイスのLoki Robotics社が開発するフィジカルAI清掃ロボットです。フィジカルAIとは、AIが周囲の状況を認識し、ロボットなどの機械を通じて現実空間で作業する仕組みを指します。Lokiはトイレなどの水回りを自律的に清掃することを想定しており、海外では開発・実証が進められています。
日鉄興和不動産とJDSCは2026年8月から、Lokiを日本のオフィスビルで稼働させる実証を開始しました。実証の推進にあたり、日鉄興和不動産グループ、JDSC、ソフトバンクロボティクスの間で基本合意書が締結されています。なお「国内初」とは、Loki Robotics調べ(2026年8月時点)で、Loki RoboticsとしてLokiを日本国内のオフィスビルで実証するのが初めてという意味です。

JDSCの発表では、ビルメンテナンス(BM)業務を担う人材の不足が深刻化し、なかでもトイレなどの水回り清掃で自動化へのニーズが高まっているとしています。また、海外では水圧式の水回り清掃ロボットなどの普及が進む一方、日本のビル環境や清掃品質に見合う製品は少ないと説明しています。そのため、国内での活用に向けて、環境への適合性や運用方法を検証する必要があります。
第一フェーズでは、日鉄興和不動産の自社オフィスビルにLokiを導入し、日本のビル環境やトイレ仕様への適合性を検証します。確認するのは清掃性能だけではありません。実際の現場でどのように稼働させるのかというオペレーションに加え、離れた場所からロボットを管理する遠隔運用体制についても検証します。
Lokiが日本のオフィスビルでどのように運用できるのかを確かめた先にあるのが、実際のビルメンテナンス業務へ組み込むための仕組みづくりです。

人とロボットの役割分担まで設計、BM業務の高度化・自動化を見据える

実証で得られた結果をもとに、3社は日本のビル環境や清掃オペレーションに合わせた運用方法を段階的に設計します。具体的には、Lokiを動かす時間や頻度を決める稼働スケジュール、異常が発生した際の対応フロー、人とロボットの役割分担などを検討する予定です。
実際のビルで運用するため、それぞれの企業が異なる役割を担います。日鉄興和不動産グループは実証フィールドを提供し、ビル運営側から現場の要件や課題を提示。JDSCは実証全体をリードし、フィジカルAIやAIエージェント活用の知見をもとに、実証・運用設計や他施設への展開を支援します。ソフトバンクロボティクスは、Lokiの調達と運用基盤の提供に加え、遠隔オペレーションや運用検証を担当します。

ロボットを実際の建物で継続して利用するには、自動化できる作業を増やすだけでなく、ロボットだけでは対応できない場面を誰がどのように補うのかを決めておく必要があります。今回の実証では運用面まで含めて検証し、そこで得たノウハウやデータをもとに、日鉄興和不動産が運営する他物件や国内の他施設へ展開できるかについても検討します。
実証を通じて目指しているのは、日本のBM領域における清掃ロボットの実用化モデルを確立することです。さらに将来的には、Lokiのように現実空間で作業するフィジカルAIと、情報をもとに業務を進めるAIエージェントを組み合わせた、BM業務の高度化・自動化も視野に入れています。
現時点では第一フェーズが始まった段階です。ロボット単体の性能だけを見るのではなく、遠隔運用や人との役割分担まで含めて検証する今回の取り組みが、日本のビルメンテナンスの現場にどのような運用モデルを生み出すのか、今後の実証結果が注目されます。

まとめ

いかがだったでしょうか?
Lokiの実証では、フィジカルAIを活用した水回り清掃だけでなく、日本のビル環境に合わせた運用方法や、人とロボットの役割分担まで検証されます。
日鉄興和不動産、JDSC、ソフトバンクロボティクスがそれぞれの知見を持ち寄り、実際のオフィスビルで継続的に活用できる仕組みづくりを進めます。AIが画面の中だけでなく現実空間でも働くようになるなか、Lokiがビルメンテナンスの現場でどのように活用されていくのか、今後の実証結果に注目したいですね。