2026.09.02 | テクノロジー

Slack Codeとは?AIエージェントとチームで共同開発する新機能

Salesforce傘下のSlackは、AIコーディングエージェントとチームで共同開発できる新機能「Slack Code」を発表しました。専用のcode channelで会話やコード差分、プレビューを共有し、エンジニア以外も開発に参加できます。本記事では、仕組みや活用例、安全設計を分かりやすく紹介します。

Slack Codeとは?AIコーディングをチームで共有する「code channel」

Slack Codeは、AIコーディングエージェントとの開発作業を、Slack上でチームに共有できる新機能です。これまでClaudeやChatGPTなどを使ったコーディングは、個人のブラウザやターミナル内で進められることが多く、チームからは「AIに何を依頼し、どのような変更を行ったのか」が見えにくいという課題がありました。
Slack Codeでは、Slack上の会話からAIコーディングエージェントを呼び出すと、特定のタスクやプロジェクトに対応した専用スペース「code channel」を作成できます。通常のスレッドに複雑なやり取りを詰め込むのではなく、一つの開発作業に関する情報をまとめて扱える場所として設計されています。
code channelでは、AIエージェントとの会話に加えて、作業計画やコードの変更内容、HTMLのライブプレビューなどを確認できます。

「code diff」は変更前と変更後のコードの違いを確認する仕組みで、どこが書き換えられたのかをチャンネル内で把握できます。さらに、ライブプレビューを使えば、作成・変更したHTMLが実際にどのように表示されるのかも、その場で確認可能です。
各code channelは一つのプロジェクトに対応し、タスクが完了すると自動的にアーカイブされます。作業記録はその後も残るため、どのような会話や変更を経て成果物が作られたのかを後から振り返れます。
また、code channel向けのAPIを使うことで、アカウントの自動設定やユーザー認証、ワークフローの一部自動化など、組織の運用に合わせてエージェントの動作を調整できます。
個人とAIの間に閉じていた開発過程をチームから見える場所へ移すことで、次に変わるのが「誰が開発に関われるのか」という点です。

エンジニアだけではない、PMやデザイナーもAIとの開発に参加

Slack Codeでは、開発者だけでなく、プロダクトマネージャー(PM)やデザイナー、非技術職のメンバーも、AIエージェントとの作業内容を同じcode channelから確認できます。コードを書く知識がなくても、完成イメージを見ながら意見を伝えたり、作業の方向を修正したりできるため、開発途中の判断に参加しやすくなります。
Salesforceの発表では、PMがSlack上でバグ報告を見つけた場面が例として紹介されています。従来であればエンジニアへ依頼し、チケットを作成して対応を待つところを、Slack CodeではPM自身がAIコーディングエージェントを呼び出し、修正案の作成を依頼できます。AIエージェントは、Slack内ですでに共有されている会話やスクリーンショット、ドキュメントなどを参照しながら、修正方法を検討してコードを提案します。

その後、PMはエンジニアをcode channelへ招き、コードの差分やライブプレビューを確認してもらいます。内容に問題がなければ、AIエージェントにPRの作成や本番環境への反映に向けた作業を進めてもらう流れです。PR(Pull Request)とは、変更したコードをチームで確認し、本番環境などへ反映する前にレビューするための仕組みです。
チャンネルに参加しているメンバーは、AIエージェントの作業が意図から外れた場合に、途中で停止したり方向を修正したりできます。つまり、非エンジニアがすべての開発を担えるようになるというより、これまで開発者の画面内にあった過程を共有し、必要なタイミングでチーム全体が意見や判断を加えられるようにする仕組みです。
Slack上にすでにある会話や資料を、そのまま開発の文脈として利用できることも特徴です。参加する人の範囲が広がる一方で、重要になるのが、AIエージェントにどこまで操作を任せるのかという安全管理です。

Claude・ChatGPTなどと連携、Slack Codeの安全設計と今後

Slack Codeでは、Anthropic、Cognition、GitHub、OpenAI、Vercelなどがパートナーとして参加しています。現行リリースでは、AnthropicのClaude、CognitionのDevin、GitHub Copilot、ChatGPT、Vercelのエージェントと連携でき、各エージェントをcode channel上の共同作業に組み込めます。Slack CodeはすべてのSlackプランで利用できますが、各パートナーのエージェントを利用するには、別途アクセス権が必要です。
安全面では、code channel内のAIエージェントにもSlackの既存のセキュリティモデルや権限、管理者向けの制御が適用されます。AIだから特別な権限を与えられるのではなく、組織で設定されている管理ルールの範囲内で動作する仕組みです。

本番環境へコードを反映するような影響の大きい操作では、AIエージェントが作業内容をまとめ、専門家が確認・承認してから進めます。このように、AIだけで処理を完結させず、重要な判断に人が関わる考え方は「human in the loop」と呼ばれます。
Slack全体でも、エージェントとの関わり方を整理する機能が追加されています。Agent DMsでは通常のメンバーとの会話に近い形でエージェントとやり取りでき、Agents tabでは利用中のエージェントや会話、進行状況をまとめて確認できます。また、「Add to Slack」では、対応するサービスで作成したエージェントを、OAuthや設定作業の一部を自動化しながらSlackへ追加できます。
Salesforceは今後、code channel向けAPIをより広い開発者コミュニティへ開放する方針です。将来的な活用例として、マーケティングでのキャンペーン制作や法務での文書レビューなど、ソフトウェア開発以外の業務を担うカスタムエージェントがcode channelへ参加する使い方も示されています。
Slack Codeは、AIを個人の補助ツールとして使うだけでなく、既存の権限管理や人による確認を残しながら、チーム全体でAIと共同作業する環境へ広げようとする取り組みです。

まとめ

いかがだったでしょうか?
Slack Codeは、AIコーディングエージェントとの作業をcode channelで共有し、エンジニアだけでなくPMやデザイナーも開発の過程に参加できる仕組みです。
ClaudeやChatGPTなど複数のエージェントとの連携に対応し、重要な操作では人による確認を残す設計も取り入れられています。
AIとのコーディングが個人作業に閉じるのではなく、チーム全体で共有しながら進める形へどう広がっていくのか、今後の展開に注目したいですね。