2026.09.13 | テクノロジー

SENSY GeoScopeとは?ベルクがAIで店舗開発を高度化

SENSYは、ベルクでAI店舗開発DXサービス「SENSY GeoScope」の本格運用を開始しました。出店候補地の売上予測や商圏・競合分析をAIで支援し、新AIレポートとシナリオシミュレーションも追加。本記事では、店舗開発にAIをどう活用するのか、主な機能やベルクでの使われ方を分かりやすく紹介します。

出店候補地の売上をAIで予測、「SENSY GeoScope」とは?

小売業の店舗開発では、出店候補地を評価するために、商圏人口や競合店舗、道路・駐車場条件、売場面積、地域特性など、さまざまな要素を確認する必要があります。さらに近年は、建築費や土地価格の上昇、人手不足、競争環境の変化もあり、新規出店や改装に伴う投資判断の重要性が高まっています。
「SENSY GeoScope」は、こうした店舗開発の判断をAIで支援するサービスです。地図上で出店候補地を指定すると、AIが店舗フォーマットや商圏特性、競合状況、類似店舗との比較などを分析し、その場所で見込まれる売上を予測します。特徴は、一般的な地域データだけでなく、企業ごとの実績を組み合わせて分析する点です。自社のPOSデータや商圏データ、競合店舗データ、人口・世帯データなどを活用し、それぞれの企業の店舗特性に合わせた予測モデルを構築します。

POSデータとは、店舗で「何が・いつ・どれだけ売れたか」といった販売実績を記録したデータです。
これにより、単に「人が多い地域だから売れそう」と判断するのではなく、自社の店舗がその立地でどの程度の売上を見込めるのかを、より実務に即した形で予測することを目指しています。ベルクとSENSYの共同開発では、店舗開発担当者が実際に重視している判断ポイントもAIモデルやレポート機能に反映しながら改善を重ねてきました。
SENSYによると、検証対象における予測誤差率は、中央値で7%台となる水準まで改善が進んでいます。こうした予測結果を、実際の出店判断でより使いやすくするために追加されたのが、新AIレポートとシナリオシミュレーションです。

「もし駐車場を増やしたら?」新AIレポートとシナリオシミュレーション

新AIレポートでは、AIによる売上予測に加え、商圏人口や将来人口推計、競合店舗、類似店舗、立地条件など、出店判断に必要な情報をまとめて確認できます。
従来、店舗開発の会議資料はページ数が多くなりやすく、意思決定者が必要な情報を把握するまでに時間がかかる場合がありました。新AIレポートでは、「なぜこの候補地なのか」「どのようなリスクや機会があるのか」を確認しやすい形に情報を集約し、店舗開発担当者や経営層、関連部門が同じ前提をもとに議論できるよう支援します。
シナリオシミュレーションでは、出店条件を変更した場合に、推定売上がどう変わるのかを比較できます。

たとえば、売場面積や駐車台数、駐車場タイプ、併設テナント、営業時間などを変更した場合に加え、競合店舗が新たに出店した場合や撤退した場合の影響も確認できます。
一つの売上予測だけを見るのではなく、「駐車場を増やした場合」「売場を広げた場合」「別業態のテナントを併設した場合」など、複数の出店パターンを並べて検討できる点が特徴です。
SENSYは今後、限界賃料や投資回収、ROIなどの観点も含めて機能を拡張する方針です。ROIとは、投資した金額に対してどの程度の成果が得られるかを見る指標です。
売上を予測するだけでなく、条件を変えながら比較し、経営判断に必要な情報を整理する。こうした機能が実際の店舗開発でどう使われているのか、その事例となるのがベルクでの本格運用です。

ベルクで本格運用、経験や現地調査とAIを組み合わせる店舗開発へ

ベルクとSENSYのAI活用は、需要予測や発注最適化の取り組みから始まりました。2023年頃からは店舗開発領域でも共同で研究開発を進め、2024年秋以降のトライアル運用を経て、現在はSENSY GeoScopeを出店候補地の初期評価や売上予測、商圏・競合分析の支援ツールとして本格活用しています。
ベルクでは、候補地を検討する際にSENSY GeoScopeで売上予測や周辺環境の分析結果を確認し、それを外部調査や現地確認、店舗開発担当者の経験と組み合わせて出店判断に活用しています。
SENSY代表取締役CEOの渡辺祐樹氏も、店舗開発では担当者の経験や現地感覚が重要であり、AIが一方的に答えを出すのではなく、現場の知見を補完し、経営判断に使いやすい形で情報を整理することが重要だと説明しています。

また、SENSYは将来的な可能性として、GeoScopeで得られるデータや分析結果を、既存店分析やカテゴリー戦略、発注、販促、マーケティングなどへ活用することも想定しています。現時点では店舗開発支援が中心ですが、店舗開発で得たデータを店舗運営のほかの領域へ広げていく可能性も示されています。
需要予測から始まったベルクとSENSYの取り組みは、店舗開発へと活用範囲を広げました。SENSY GeoScopeの本格運用は、人の経験とAIによる分析を組み合わせながら、複雑な出店判断を支援する一つの事例といえるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?
「SENSY GeoScope」は、AIによる売上予測や商圏・競合分析を通じて、店舗開発の判断を支援するサービスです。
新AIレポートやシナリオシミュレーションにより、候補地の特徴を整理し、条件を変えた場合の売上影響まで比較できるようになりました。
ベルクでは、現地確認や担当者の経験とAIの分析を組み合わせながら活用しており、人の判断を置き換えるのではなく、出店を検討するための材料を増やす形でAIを取り入れています。