ソニー銀行と富士通、生成AIで勘定系システム開発期間を30%短縮
銀行の基幹業務を支えるシステムの開発に、生成AIが組み込まれ始めています。ソニー銀行と富士通は、勘定系システムの実開発に生成AIを適用し、基本設計から結合テストまでの開発期間を従来比30%短縮しました。AIは開発の各工程で何を担い、人はどう品質を確保するのでしょうか。両社が確認した成果と、それを支える仕組みを紹介します。
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銀行システムの実開発で、開発期間を30%短縮
ソニー銀行と富士通は、2025年9月から勘定系システムの開発に生成AIを適用してきました。両社はアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、AWSジャパン)とともに、銀行業務の土台となるシステムの開発プロセスを見直しています。
背景には、金融システム開発にかかる時間やコストの課題があります。両社は、金融業界で新サービスを提供するまでに数カ月から年単位の時間がかかる背景として、開発費用の高さや工程の複雑さを挙げています。
今回の取り組みは、実用化の可能性を確かめるPoC(概念実証)にとどまらず、本番稼働中の勘定系システムの実開発を対象としています。取引の要求に応じて処理するオンライン取引処理や、データをまとめて処理するバッチ処理など、多様なアプリケーション開発に生成AIを活用しています。
両社は2026年7月時点で、基本設計から結合テストまでの開発期間を従来比30%短縮し、工数を40%削減した効果を確認しました。工数は作業に費やす人の時間の合計を表し、着手から完了までの開発期間とは異なります。対象となった工程では、作業量と期間の両方で削減効果が示されました。
工程別では、基本設計で変更が及ぼす範囲を調べる「影響調査」の工数を最大90%、詳細設計での設計書作成工数を最大40%削減しています。プログラムを作る製造工程では、処理内容を記述するソースコードの生成率が99%に達しました。さらに、複数の機能を組み合わせて動作を確認する結合テストでは、テスト実行工数を最大90%削減しました。
今回、コードの生成率だけでなく、設計からテストまでの開発期間と工数が示された点は、導入効果を考えるうえで参考になります。AIがどれだけコードを書けるかに加え、開発全体で人の作業時間や日数をどれだけ減らせるかが、評価のポイントになるでしょう。
開発資産をつなぐAI、人が担う判断と品質保証
設計書からソースコードやテストケースを生成するなど、前の工程の成果物を次の作業に生かすことが、両社の取り組みの特徴です。設計書・ソースコード・テスト資産をAIが工程横断で活用することで、工程間の連携を強め、開発効率の向上につなげています。
中核となるのは、AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」上で提供されるAnthropicの生成AIモデル「Claude」や、開発支援ツール「Claude Code」を活用したAIエージェントです。
設計・製造・テストを支援する各AIエージェントは、必要な開発資産や各種ツールと連携しながら作業を進めます。
開発における最終判断や承認、品質保証を担うのは人です。金融業務とシステム開発の知見を持つ富士通の人材が、適切なタイミングで評価・改善を行います。両社は、人による判断と確認を含めて生成AIを標準の開発プロセスに組み込み、安全性と品質を確保しています。
技術面の基盤となるのは、勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank(クロスバンク)」です。クラウド環境の利用を前提に設計する「クラウドネイティブ」な構成を採用し、AWS上で稼働しています。生成AIサービスとの連携や検証を迅速に進められる環境が、各工程への段階的な適用を支えました。
また、機能を小さなサービスに分けて構成する『マイクロサービス』を前提とした設計により、機能ごとに段階的にAIを適用し、その効果を評価できます。両社は、設計・製造・テストの各工程で効果を検証しながら、適用範囲を広げてきました。必要な情報をAIが利用できるよう整え、人の評価を通じて改善を重ねることで、継続的にAIを活用する開発プロセスを確立しています。
例えば、AIが設計書からコードを生成しても、そのコードが銀行業務の要件を満たすかを確かめる役割は残ります。AIの出力を評価するためにも、業務やシステムを理解する人の知識が引き続き求められるでしょう。
まとめ

いかがだったでしょうか?
ソニー銀行と富士通は今後、必要な機能や条件を整理する「要件定義」に加え、セキュリティや運用・保守にも生成AIの適用を広げる方針です。
ソニー銀行の周辺系システムへの活用も進め、富士通は他の金融機関向け開発にも知見を展開する計画です。
今後は、今回の開発プロセスを異なるシステムや金融機関へ展開する際に、どのような調整が必要になるのかにも注目したいところです。

