2026.09.24 | テクノロジー

エクサウィザーズ、イオンの次世代経営幹部候補をAIで可視化・育成支援

実績が積み上がる前の人材から、次の経営を担う可能性をどう見いだすのでしょうか。エクサウィザーズは、イオンの経営理念・行動原則とAIを組み合わせ、次世代の経営幹部候補の可視化・育成を支援しています。候補者の強みや課題を捉える評価と、対話や提案を通じた訓練をつなぐ仕組み、人が最終判断を担う設計について紹介します。

実績が積み上がる前に、経営幹部候補の可能性を捉える

イオンは、2030年度に向けた中長期経営計画のもと、事業ポートフォリオ(事業の構成)の変革を進めています。事業の変化に合わせて人材の見立てや育成を見直すことも重視しており、エクサウィザーズは2026年2月から、次世代経営幹部候補の可視化・育成を支援しています。従来のAI活用やデジタル人材育成の支援から、人事領域のコンサルティングとAIを組み合わせ、人材育成戦略全体へ支援の範囲を広げる取り組みです。
候補者を見いだす際の判断軸となるのが、イオンの経営理念・行動原則を体系化した「経営知見(Regulus/レグルス)」です。実績が積み上がる前の段階でも、職務経歴や行動・思考の様式を材料として、一人ひとりの強みと課題を捉えます。

具体的には、人材の特性や能力などを把握・評価する人材アセスメント「DIA ver3.0」を組み合わせた「Regulusアセスメント」を活用します。イオンの行動原則の一つひとつに、関連するDIAの項目を紐づけ、理念や行動原則をどの程度体現しているかを可視化する仕組みです。個人別のレポートには、体現状況と推奨する育成アクションを示し、判定の根拠も確認できるようにします。
エクサウィザーズによると、職務経歴の文章や行動・思考の様式をAIで解析・活用できるようになったことで、100人規模でも同一基準で判定する仕組みが可能になりました。異なる経験や強みを持つ候補者の判断材料をそろえ、候補とした理由を根拠とともに説明できるようにします。
最終的に決めるのは人であり、AIは判断材料と記録を整える役割を担います。イオン人材育成部の吉田氏も、人材の見極めは簡単に成果が出るものではないとしたうえで、後から検証できる根拠を示す重要性を述べています。エクサウィザーズは、同一基準のデータが蓄積されれば、候補者の選び方自体も見直せるとしています。評価を選定だけで終わらせず、レポートで把握した強みや課題を、一人ひとりの育成へつなげる設計です。

AIとの対話と成果発表で鍛え、成長を同じ基準で確かめる

経営幹部候補の育成プログラムでは、「エクサベース ロープレ」による対話の訓練と、成果発表レビューによる企画・提案力の育成を組み込みます。経営理念を伝える力や、対象となる職位に求められる視点を養うための仕組みです。
「エクサベース ロープレ」は、想定した場面や役割に沿ってAIと対話を練習する、AIロールプレイングサービスです。候補者はイオンの経営理念を反映したAIアバターを相手に、コーチングや、理念・ビジョンを自分の言葉で語る力を訓練します。
対話中の判断が経営理念・行動原則に沿っているかを、訓練データに基づいて評価します。

時間や場所を問わず繰り返し取り組めるため、練習量を確保しながら、対話力の訓練と判断の傾向の可視化を同時に進められる点が特徴です。
成果発表レビューでは、研修で提出された企画・提案を「提案としての完成度」と「対象となる職位に期待される経営視座」の二軸で評価します。評価の観点ごとに判定の根拠を残すことで、評価者が変わっても、同じ観点で企画・提案を確認できる状態を整えます。
研修修了時にはRegulusアセスメントを再び受検し、育成期間中の変化を同じ基準で確かめられます。訓練前後を比較するとともに、判定の根拠を本人に示しながらフィードバックできる仕組みです。アセスメントと2つの訓練を、いずれも経営理念・行動原則に沿って運用することで、候補者の見極めから成長の確認までを一貫した軸でつなぎます。
今後、両社はDIA ver3.0とエクサベース ロープレを活用した施策の効果検証を進め、研修にとどまらない日常的な活用へ広げる方針です。エクサウィザーズは、経営幹部候補の育成で得た知見を、人材育成に関する他の場面にも応用できるとしています。こうした検証と活用の拡大を通じて、イオンの経営戦略と人材育成戦略を一体的に支援していく考えです。

まとめ

いかがだったでしょうか?
イオンとエクサウィザーズの取り組みは、経営理念・行動原則を共通の軸に、候補者の可視化から訓練、成長の確認までをつなぐものです。
人が判断するための材料と根拠をAIで整え、後から検証できる形で残す点にも特徴があります。
今後の効果検証を通じて、人材の見立てや育成方法の改善にどうつながるのか、注目したいところです。