パナソニックHD、健康変化を捉えるAI「予兆ソリューション」を開発
パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)は、高齢者の健康状態の変化の兆しを捉えるAI技術「予兆ソリューション」を開発しました。センサーデータの解析とレポート生成により、介護施設での状態確認を支援します。二つのAIの仕組みや評価結果、2026年10月から始める実証実験の内容を紹介します。
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センサーデータから健康変化の兆しを捉える
介護現場では、高齢化と介護人材不足を背景に、限られた人員でケアの質を維持・向上させることが課題となっています。日々の体調変化への気づきは、職員の経験や観察に支えられている部分も多く、変化が明らかになってから対応するケースもあります。パナソニックHDは、より早い状態確認やケアにつなげるため、客観的なデータから変化の兆しを捉える「健康状態変化解析AI」を開発しました。
健康状態変化解析AIは、見守りセンサーから得られる心拍数、呼吸数、体動状況、睡眠状況、ベッドにいるかどうかを示すベッド在状況などの生体情報・生活情報を活用します。基準となるのは、高齢者一人ひとりの平常時の状態です。日ごとの統計解析に加え、前日・前々日との差分を「特徴量」として解析し、普段の状態との違いを抽出します。
約2,000人を対象とした性能評価では、再現率は89.4%、誤報率は10.5%となりました。再現率は、過去の介護記録に健康状態の変化が記録されていたタイミングのうち、AIが変化を捉えた割合です。一方、誤報率は、変化が記録されていないタイミングで、AIが「変化あり」と評価した割合を示します。いずれも、過去の介護記録とAIの解析結果を照らし合わせた評価指標です。
過去の介護記録を用いた「後ろ向き分析」では、健康状態の変化が記録されていた事例について、記録時点より前からセンサーデータ上の変動傾向が確認されました。後ろ向き分析とは、過去に残された記録やデータを振り返り、傾向を調べる手法です。
パナソニックHDは、評価結果から、目視や本人の自己申告だけでは把握が難しい変化についても、状態確認のきっかけとなる情報を提供できる可能性が示唆されたとしています。予兆ソリューションには、解析で捉えた変化を、現場スタッフが確認に使える形で伝える仕組みも組み込まれています。
変化の根拠を示し、現場の状態確認を支える

「レポート生成AI」は、健康状態変化解析AIが捉えた変化について、根拠となるセンサーデータや過去の状態との比較を、文章とグラフで提示します。変化の傾向や観察のポイントを整理し、介護職や看護職など、多職種で共有しやすいレポートとして示します。パナソニックHDは、データの読み取り負荷の軽減や、多職種間での情報共有を支える情報としての活用を期待しています。
レポートは、現場スタッフによる観察・確認・判断を支える参考情報です。AIがケアや医学的判断を行うものではなく、職員が利用者の状態を確認し、先回りしたケアを実践するまでの一連のプロセスでの活用を目指しています。
予兆ソリューションは、複数のセンサーデータを組み合わせて活用できます。パナソニックHDは、特定の見守りサービスやセンサーに依存せず、介護現場で普及している見守りシステム上で活用できる共通基盤として、機器ごとに異なるセンサー信号の「正規化」と「特徴抽出」を進めます。将来的には、適用できる見守りシステムの拡充を目指しています。
2026年10月からは、社会福祉法人ユーアイ二十一と協力し、実際の介護現場で実証実験を開始します。解析AIによるお知らせと、根拠や観察のポイントを示すレポートが、職員の状態確認やケア判断にどのように活用されるかを確認します。なお、実証は現場での実用性、有用性、運用性を検証する研究活動であり、疾病の診断や医学的判断の性能を検証するものではありません。
パナソニックHDは、実証実験で得られた知見をもとに、解析手法やレポート内容を改善する方針です。見守りサービス事業者をはじめとする社外パートナーとの協業も拡大し、勘や経験だけに頼らず、データに基づく介護を実現するための技術開発を進めていきます。
まとめ

いかがだったでしょうか?
パナソニックHDの「予兆ソリューション」は、健康状態の変化の兆しを捉え、その根拠を伝えることで介護職員の状態確認を支える技術です。
実際の介護現場での有用性や運用性は、2026年10月からの実証実験で検証されます。
職員の観察とセンサーデータの解析結果を組み合わせることで、体調変化の兆しをより早く捉え、必要な状態確認やケアにつなげやすくなると考えられます。
