2026.10.09 | テクノロジー

ワークスアイディとHmcomm、金融・生命保険の音声AI事業を本格化

ワークスアイディとHmcommは、音声対話AI「Terry2」を活用した事業展開を本格始動しました。第1弾は、金融・生命保険分野向けの「保険比較・推奨ソリューション」です。AIによる電話の一次対応と人による判断を組み合わせ、通話後の事務処理まで自動化を目指します。両社の取り組みと業務への導入を支える仕組みを紹介します。

保険の電話対応をAIと人で分担

ワークスアイディは、金融・生命保険分野のセールス業務に特化した「保険比較・推奨ソリューション」の提案・販売を開始しました。音声対話AI「Terry2」を活用する取り組みで、すでに同分野の企業とのPoC(概念実証)や商談を進めています。PoCとは、導入に向けて技術や仕組みの有効性を検証することです。
保険のセールス業務では、見込み顧客への電話、意向の聞き取り、複数商品の比較情報の提供、担当者への取次といった対応が発生します。必要な人員を確保するとともに、応対品質のばらつきを抑え、法令や社内規程を守ることも求められます。ワークスアイディは、これまでも生成AIの導入支援などを通じて、金融・生命保険業界のデジタル活用を支援してきました。業界の企業との対話を重ねる中で、電話対応の効率化と品質の標準化へのニーズを捉え、第1弾の対象として選定しました。

ソリューションでは、「Terry2」の発信・受電エージェントに、保険商品の比較・推奨に関するナレッジと、意向確認・取次のワークフローを組み合わせます。ナレッジは業務で参照する知識や情報、ワークフローは対応を進める手順を指します。AIエージェントが電話をかけ、一次的な情報提供や意向確認を行い、個別の判断が必要な場面では人の担当者へ引き継ぐ構成です。
保険募集に該当する行為は、関係法令と顧客企業の社内規程に従い、有人の募集人が行うことを前提としています。ワークスアイディは、人材サービスを通じて培ったコールセンター領域の知見と業務設計力を生かし、AIと人が協働する体制を現場に根づかせることを目指します。
こうした役割分担は、人の担当者が顧客ごとの事情を踏まえた判断や説明に時間を充てるうえで有効と考えられます。さらに両社は、電話応対だけでなく、通話後に発生する事務処理も取り組みの対象としています。

通話後の事務処理までつなぐ実装基盤

通話後には、受け付けた内容の確認やデータ入力、通知などの事務処理が発生します。今回のソリューションでは、これらの処理に加え、CRMや各種業務システムとの連携までを自動化の対象としています。CRMは、顧客情報や対応履歴などを管理する仕組みです。
実装には、ワークスアイディが持つRPA・ノーコードツールの構築ノウハウを組み合わせます。RPAは定型的なパソコン操作などを自動化する技術、ノーコードツールはプログラムのコードを記述せずにアプリや業務の仕組みを作るためのツールです。両社は、電話応対と後続事務をつなぎ、AIエージェントと有人オペレーターが役割を分担するコンタクトセンターの構築・運用を支援します。

業務ソリューションの基盤となるのは、Hmcommが推進するVAAP(Voice AI Agent Platform)です。音声AIエージェントを活用するためのプラットフォームで、4層構造で設計されています。従来はHmcommが全層を構築していましたが、今回は下位3層をワークスアイディへ導入し、最上位の「業務ソリューション層」を同社が顧客基盤と業務知見に基づいて構築します。
VAAPは、下位3層を共通の基盤として使い、参照する知識や取次先など、業務固有の部品を差し替えることで、別の業界・業務向けにも展開できる設計です。今回の取り組みは、Hmcomm以外の企業がVAAP上で業務ソリューションを構築し、販売から実装までを担う「パートナー型販売・実装モデル」の先行事例に位置付けられています。
両社は2026年1月に業務提携を締結しており、今回の基盤導入完了を受け、製品の紹介・販売を中心とした協業から、提案・検証・構築・導入・業務実装・運用を一体で進める「共同販売・共同実装」へと取り組みを広げます。今後は、カスタマーサポートや予約・注文受付、督促、各種案内などへの導入を進める方針です。ワークスアイディは、AIと人が協働する体制の導入を通じて、労働生産性と顧客体験の向上を目指しています。

まとめ

いかがだったでしょうか?
ワークスアイディとHmcommは、「Terry2」を活用し、保険分野の電話対応から通話後の事務処理までをつなぐ取り組みを始めました。AIによる一次対応と人による判断を組み合わせ、その体制を業務の構築・運用まで支える点が特徴です。
音声AIの技術を現場の業務に合わせて実装する取り組みは、電話を起点とする幅広い業務の改善につながると考えられます。