2026.10.16 | テクノロジー

業務を手順書化しAIが実行する基盤「Agentino」がβ版提供開始

株式会社デライトは2026年10月13日、AIエージェント実行基盤「Agentino(エージェンティーノ)」のPublic β版の提供を開始しました。Agentinoは、言葉で伝えた業務をAIが手順書にして実行し、チームで共有して動かせる基盤です。今回は、Agentinoの仕組みと主な特徴をご紹介します。

言葉で伝えた業務を、手順書から実行の流れへ変換する仕組み

Agentinoは、手順の決まった業務をAIエージェントに任せ、実行させるためのツールです。例えば、毎月の請求書を確認してから発行する、といった業務を任せられます。Agentinoでは、言葉で伝えた業務のやり方を手順書にし、AIエージェントが実行できる形へ変換することで、業務を任せられる仕組みになっています。
まず、任せたい業務のやり方をチャットで説明すると、内蔵の「ビルダーエージェント」が説明をもとに手順書を提案します。提案は変更ごとに確認でき、適用するか破棄するかを選べるため、自社の進め方に合わせて手順を整えられます。手順がまだ固まっていない業務でも、AIと対話しながら試す「探索セッション」で進め、うまくいった流れだけを手順書として保存できます。

次に、作成した手順書は自然言語からコードに変換され、検証を経てエージェントが実行する流れに組み立てられます。業務の順序や分岐、どこで人の承認をはさむかも組み立てた流れの中に書かれ、業務が変わったときも手順書から見直せます。
さらに、手順書づくりや実行の指示は、普段使っているAIエージェントからも行えます。AgentinoはMCP(Model Context Protocol、AIエージェントと外部のサービスをつなぐための共通規格)のサーバーとして動作するので、Claude Code、Codex、Cursorなどから接続できます。接続したAIエージェントからは、手順書の作成・更新、実行できる形への変換、実行、定期実行の管理まで指示できます。個人のAIエージェントで試した仕事のやり方も、手順書としてワークスペースに残すことで、チームで共有・実行できるようになります。
ほかにも、業務を任せるための機能として、ブラウザ操作、PDFの読み取り、Web検索、隔離した環境でのコードやデータの処理などがそろっています。

チームでの運用と、安全面・コスト面の設計

生成AIの業務利用が広がる一方で、AIエージェントを業務で動かしている企業はまだ一部です。情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2026」によると、生成AIの導入や検討を進める企業のうち、AIエージェントを使っている割合は、最も高いITシステム部門でも19.4%で、ほかの部署ではいずれも10.1%以下でした。デライトは、企業がAIエージェントを業務で動かすには構築・運用・安全・コストの4つの壁があるとし、Agentinoで4つの壁を1つの基盤で越えることを目指しています。
運用面では、手順書、実行記録、ツールの接続がワークスペースの中でチームに共有され、個人のPCに閉じていたノウハウをチームで使い続けられます。平日9時、毎週月曜10時といった定期実行も設定でき、実行のたびに各ステップの入出力が記録されるため、うまくいかなかった箇所を確かめて手順書を直せます。

安全面については、総務省の「令和8年版 情報通信白書」でも、生成AIの活用で懸念されるリスクの最多として、社内情報の漏洩などのセキュリティリスク(46.4%)が挙がっています。Agentinoは安全面の対策として、外部サービスへの登録や送信、請求書の発行、支払いといった重要な操作の前で実行を止め、画面上で人の承認を待ちます。また、会計ソフトやメールなどの認証情報はAIに渡さずに基盤が代理で使い、業務を段階に分けて、各段階には必要な道具と権限だけを渡します。
コスト面では、特定のAIモデルに固定せず、オープンウェイトモデル(モデルの重みが公開され、さまざまな事業者が提供するAIモデル)を含む選択肢から、タスクに合わせて実行モデルを選べます。求める品質と実行コストのバランスを見ながら運用でき、利用コストと実行の記録は画面で確認できます。

まとめ

いかがだったでしょうか?
Agentinoは、業務をつくるところからチームで動かすところまでを、1つの基盤で進められるツールです。今後は、承認機能などの拡張や連携ツールの拡充が予定されています。
人の承認をはさむなど安全面に配慮した設計のため、まず一つの業務からAIエージェントを試したいチームにとって、検討しやすい基盤と考えられます。