2026.10.22 | テクノロジー

業務ごとにAIを構築、PathForgeが中小企業向けサービス提供開始

株式会社PathForgeは2026年10月20日、中小企業向けサービス「AI社員派遣」の提供開始を発表しました。企業ごとの業務に合わせてAIを設計・構築し、運用の定着まで支援するサービスです。AIが担う業務と人が確認・判断する業務を導入時に分け、送信・契約・支払い・最終判断は人が担当する点が特徴です。

「AI社員派遣」の仕組みと任せられる業務

「AI社員派遣」は、ツールのアカウントを配布する形ではなく、対象とする業務や手順、AIに与える権限の整理から始まります。どの業務をどこまでAIに任せるかを企業ごとの業務内容に応じて決めてから、AIを設計・構築する流れです。契約内容はシステムの構築と運用支援で、PathForgeは「AI社員派遣」をサービス上の呼称とし、労働者派遣法に基づく人材派遣サービスではないと説明しています。
任せられる役割の例として、PathForgeは6種類を挙げています。AI秘書は日程候補の整理や調整連絡・メールの下書き、タスク管理を担います。AI議事録担当は会議の要点や次に行うことを整理し、議事録を下書きします。AI営業事務は資料・見積書の下書きとデータ入力、AIマーケターは市場調査とSNS投稿の下書きを担当します。

さらに、求人票の下書きや応募情報の整理を行うAI採用担当、一次回答の下書きとFAQの整備を行うAIカスタマーサポートもあります。1体のAI社員がどの役割を担うかは、任せる業務の範囲に応じて設計します。
実際の使い方の例として、PathForgeは社内で運用している商談準備を紹介しています。AI社員がカレンダーの商談予定を起点に相手企業の公開情報を調べ、企業分析と提案資料の下書きを作成します。
また、PathForgeは、業種や職種に特化したAI社員の構築も進めています。不動産では物件資料の読み取りと台帳への転記、理美容・サロンでは予約の候補日時の整理と返信文の下書き、建築・建設では見積書のドラフト作成や現場打ち合わせの議事録づくりなどを、AIに任せる業務のモデルとして整理しています。士業や製造・卸、クリニック、飲食・小売、人材、ECなどのモデルもサービスサイトに掲載されていますが、いずれも活用を検討するためのモデルで、導入実績を示すものではないとしています。

AIと人の線引きと導入の進め方

AI社員が担うのは、情報の整理、文書や回答の下書き、定型のチェックまでです。メールや顧客への回答は下書きにとどめ、人が確認してから送信します。契約・支払い・最終判断も人が担当し、AIと人の線引きは導入の最初に決めます。
「AI社員派遣」は、PathForgeが設立前から運用してきた自社のAI社員の仕組みをもとにしています。2026年10月19日時点で、PathForge社内では実務担当9体と確認担当1体の計10体のAI社員が動いており、決まった時間に自動で動く定期タスクは57本、業務ごとの手順書は116本です。いずれも自社内の運用状況で、サービスの導入実績ではありません。社内運用では、経営者の判断が必要な場面を「外への公開・送信」「課金・契約・価格」「前例のない事業判断」「削除など元に戻せない操作」「組織・制度の変更」の5種類に整理し、AIが進めた業務の記録を残しています。

AIは、会計ソフトや業界の管理ソフトなど現在の利用環境を確認し、連携の可否と方法を踏まえて設計されます。すべての業務をAI化するのではなく、AIに任せられる業務から段階的に導入する方針です。AIに扱わせる情報と触れさせない情報は設計段階で権限として決め、取り扱うデータの範囲と置き場所、構築したAIの役割・手順・使い方は文書で渡されます。担当者が替わっても、何をAIに任せ、どこを人が確認するのかを社内で引き継げるようにするとしています。
導入は5つの工程で進みます。ヒアリングで現場の業務と困りごとを確認し、現状診断では業務を書き出して、AIに任せる業務と人が持つ業務に仕分けます。AI設計の工程で、任せる業務ごとに手順・権限・品質チェックの方法を決めたあと、AI実装でAIを構築し、実データで動作を確認します。最後の運用定着では、使い方のレクチャーと、運用しながらの改善を行います。設計・構築はPathForgeが担当し、業務の確認や運用定着は導入企業と協力して進めます。

まとめ

いかがだったでしょうか?
PathForgeの「AI社員派遣」は、自社で運用してきたAI社員の仕組みをもとに、AIに任せる業務と人が判断する業務の線引きから設計を始めるサービスです。PathForgeは今後、「AI社員派遣」に加え、AI顧問やAI活用リスキリング研修を通じて、企業での継続的なAI活用を支援していくとしています。
任せられる業務から段階的に導入でき、最終判断も自社に残せる進め方は、AIに任せる範囲を見極めながら導入を進めたい企業にとって、検討しやすい形だと考えられます。